2008/10/18(土)21:48
●知ってトクする契約書の作り方
最近、複数のお客さんから契約書の作り方の
ノウハウについてリクエストがありましたので、この場を借りて
拙いながらレクチャーさせていただきます・・・
さて銀行や保険会社などと何気なくかわしている契約書ですが
正直、普通の方にとっては「読んでもよくわからん」という
内容がギッシリつまっています。
その中にちりばめられた文言をひもといてみましょう
(おてもとに銀行の借入契約書などあれば、一緒にごらんください)
1)合意管轄
「第×条 本件契約に関する争いは、東京地方裁判所を第一審裁判所とする」
これを合意管轄といいます。ほんらい裁判の第一審の裁判所は、
被告の住所地(所在地)と法律上なっていますが、じつは当事者間で
合意があればどこでもOKなのです。
したがって、(争いになりそうな)遠隔地の相手方と契約するなら
自分の住所地の裁判所を第一審の裁判所にすれば、むこうの訴訟費用
(とくに交通費)がふえて裁判をおこしにくくなります。
2)期限の利益喪失
「第×条 甲が以下にさだめる事項の一にでも該当した場合
甲は当然に期限の利益を失う
・民事再生 ・手形小切手不渡 ・その他著しく経営が悪化した場合」
一般論ですが売買代金や債権などは、
「●月●日までにお支払いください」と
支払日(サイト)がきまっているものが多いです。
債務者にとっては支払猶予になります。
(これを期限の利益といいます)
したがいまして、その●月●日がこないと取り立てができません。
とすると、原則では債務者が不渡になっても指をくわえて支払日まで
またなければいけなくなります。
これではたまったもんじゃありませんね
そこでこういうアブナイ事項に該当した場合、自動的に
「すぐ支払ってね」という約束が期限の利益喪失条項です。
事故が起きそうな先につかうといいかもしれません。
3)危険負担の移転
「第×条 甲の引渡前に●●工作機械(製造番号××)が
毀損・滅失した場合は、乙はその支払いをまぬがれる」
民法を勉強した人がアレ?とおもう、いわゆる
特定物売買の危険負担の問題です
何かというと
戸建て住宅(特定物)を売りました(=売買契約成立)
↓
それを引渡前に放火されちゃいました
↓
さて買い主は代金を払う必要があるでしょうか?
という問題。常識では「そんなの払う必要ないでしょ」と
おもいますが、民法の世界ではさにあらず、支払う義務は残るのです
買い主にとってはふんだりけったりになってしまいますから、
ビジネスの世界では、よくこういう風に「引渡までのリスクは
売り主が負担してくださいよ」と修正がかかります。
法律も100%過信するとこわいですよ!
4)無催告解除
「第×条 乙が本契約の一にでも違反したるときは、甲は
この契約を催告なしに解除できる」
契約の解除というのも楽ではなく、催告(「契約を守ってください!
さもないと解除しますよ!」)がないと解除できません。
すると相手のペースにズルズルはまって、別の取引先に乗り換えるチャンスを
失ったりするおそれもあります。
そこで相手が契約違反をしたら即解除ができるようにしましょう、
というのがこの無催告解除です。
他にもTipsはありますが、いずれまたの機会に
では!
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