決算書のツッコミどころ
会計士なぞという仕事をやっていますと、いろんな企業の財務審査を頼まれます。そうすると、決算書がいろいろ語りかけてきます(=職業病)(^^ゞとくに申告書とセットでみると、なかなか味わい深いものがありますその一例ですが・・・・・1.貸付金が不自然に多い →とりあえず、申告書の内訳書をパラパラとみる →社長への貸付金だったりする こういうのは、最悪ですね(--)結局、役員報酬を低めに 押さえているため、現金を社長が会社から引っ張って行ってる という事実を物語っています。で、社長の資産もほとんどない 場合には、いわゆる不良債権となります。 しかも怖いのは、役員貸付は税務上利息をとらないといけない (=現金を伴わない課税利益が増えてしまう)。かといって、 債権放棄したら、会社側では役員賞与となり損金不算入となる また社長さんにも所得税がかかる というトリプルショックが待ち受けているのです。(@_@) 「貸付金」ではなく、「仮払金」で処理されてる場合もあるので チョット注意してみてください。2.多額の借入金が計上されている 1)銀行からの借入の場合 1年間の約定弁済の金額が「1年内返済予定借入金」という 別立て科目で計上されますが、これがフリーキャッシュフロー (≒当期純利益+減価償却費+引当金繰入額)を上回っていると かなりの自転車操業状態だとおもわれます。年間売上高の半年分 の借入残高が健全な会社との分岐点、年間売上高の2年分の借入 残高が倒産会社との分岐点などともいわれたりします(^^ゞ 2)聞いたこともない会社からの借入金 ようするにそういうところしか貸してくれないという ことですね(^^ゞこういう会社は、平均支払利回=(支払利息/借入残高) が、かなり凄いことになってるので、電卓をいれてみるのもいいかも しれません。 3)信用保証協会からの借入金 制度融資など受けると、信用保証協会付きという条件つきになります。 信用保証協会自体が、個々の企業に貸付をするということは、ほとんど ありません。債権者は銀行となりまして、銀行名が内訳書に載ります。 ・・・ところが、滞納があるとこんなふうになります。 数ヶ月程度の滞納なら、銀行も目をつむってくれるみたいですが、 放置しておくと、信用保証協会が代位弁済して、債権が法定代位で 信用保証協会に移転します。つまり債務不履行をしたという前科があるのです。 4)社長からの多額の借入金 これは1.の逆パターンですね。運転資金が不足して元入してるみたいな ものですが、このケースが怖いのは、現金商売の場合は、脱税している 可能性が高いということです。 ふつう業務が順調に回っている会社は、売上増加とともに現金もふえていき それを仕入にあてるといういちおうの循環があります。 ところが、現金売上処理を作為的に外すと、帳面上は運転資金がガクッと不足して しまいます。現金残高がマイナスになったりするのです。(それはそうですよね(^^ゞ 目の前に売上現金があって、それで経費や仕入の支払をしてるのに 帳簿に載せていなければ、帳簿上の現金はマイナスになりますよね) そこで期末にムリヤリ帳尻をあわせるため、社長から借入をおこすという ふうになるのです。 この矛盾が生じてるかどうかは、粗利益率(=売上総利益/売上高)を 電卓いれて、非常識に低い数値だとそれがわかったりします。 (粗利益率が正常だったら、たんなる資金不足ですね(^^ゞ3.建設仮勘定が毎年同じ額計上されている 建設仮勘定とは建物をつくっているとき、その前払金みたいなものなのです。 決算書上は固定資産にあがってくるのですが、直感的におわかりのとおり よほどの大工事でもないかぎり、数年も経てば自然に消滅する運命にある 勘定科目なのです(^^ゞ ところが、これが延々と巨額な同じ額が毎年載り続けてる決算書などが、 たまにあります。 で、内容を調べると「用地開発が失敗した残骸」だったり「農地をかって 用地転用許可がおりず、そのまま放置してある物件」だったりと、 なかなかバラエティのある内容が続々出てきます(^^ゞ ま、結論からいえば 不 良 資 産 なんですけど他にも決算書にまつわるエグイ話がありますが、いずれまた期を改めて(^.^)/