仏政府CPE(初採用契約)撤回。
仏政府は、26歳以下の若者を、採用して2年以内に理由を提示しないで自由に解雇できるCPE(初採用契約)を撤回すると発表した。このCPEは若年層の雇用促進に有効であるとして仏政府が強力に推進してきたものであるが、その中身は、次々に自由に労働者を解雇し、その後釜にトコロテン式に次々に労働者を採用するという,杜撰なだけではなく、資本の側に都合がいいだけの悪法である。フランスの若者は、雇用促進という看板には惑わされること無く、CPEの本質を見抜き、仏全学連(UNEF)、仏高校生連合(UNL)、仏最大の労働組合(CGT)などが呼びかけ100万人を越える抗議運動が繰り広げられた。当初この抗議運動を無視し、CPEを強行するとしていた仏政府も、広まる一方の抗議運動に屈伏しCPEを撤回した。CPE騒動は、仏政府の全面的な敗北という形で幕を降ろした。人にはそれぞれ立場があり、その立場、立場で利害関係が全く異なってくる。つまり雇う側にとっては、口答えすれば解雇できる、遅刻すれば解雇できる、病気になれば解雇できる、いやいや、理由は全く提示する必要がないんだから、その日の気分次第で解雇できるという法律は大変すばらしいものと大歓迎されるであろう。しかし、労働者の側からすればチョット疑問を口にすれば首になる、1回遅刻すればもう来なくていいといわれる、風邪なので休ませてもらいますと電話すれば首になる、なんだか解らないうちに首になる、ということになればやる気がなくなるだけではなく、人生設計がそもそも成り立たなくなるではないか。これではまるでコ泉の構造改革そのものではないか。まさしくCGT(労働総同盟)の主張するように「現代の奴隷制」である。CPEへの抗議運動、そこにはお上の決めたことだから反対しても仕方がないという負け犬根性は微塵も無い。少なくてもフランスには、自分たちの権利を侵すものにはきっちり反対の声を上げるという「民主主義」が定着している。日本でも今、PSE,BSEなどを初めとして様々な難問が山積している。キッチリ反対しなければ、大企業の新しい電気製品を購入するために中古家電はどんどん捨てろということになるし、米国の食肉業者のために疑惑の狂牛病牛肉をどんどん食べろということになってしまう。