テーマ:家を建てたい!(10103)
カテゴリ:家作り
気密性が高い住宅では、レンジフードファンの近くに差圧感応タイプの給気口が設置されます。
一条工務店では、何も言わないと、マックスの給気口VGK150SDFが設置されてしまいます。 換気扇使用時に周囲の気圧が低くなると給気口が開き、キッチンに直接外気を取り込むことで、換気計画以上の無駄な換気を防ぎます。 無駄に換気せず冷暖房や徐加湿の効率低下を防止することは、電気代を抑えることにもつながります。 ![]() 気圧差に反応しやすくするため、差圧感応給気口と換気扇は近い方が望ましいはずです。 我が家の場合、その距離は、わずか1メートルほどです。 しかし、キッチンの換気扇を最大風量で使ってもVGK150SDFの差圧ダンパーは全く開きません。 たとえば、家の気密性が低かったり、家が広すぎると、局所的な差圧が発生せず、ダンパーが開かないこともあるようです。 しかし、C値は0.7cm2/m2ですし、家が広すぎるということもないのですが。 ![]() そこで、役立たずのVGK150SDFをパナソニックのFY-DRV062に替えようと思ったのですが、一つ大きな問題がありました。 ![]() マックスの給気口VGK150SDFの横幅は190mmです。 ![]() 一方、パナソニックの自然給気口(差圧感応形)FY-DRV062の横幅は215mmです。 横幅が25mm多いこと自体は問題ないのですが、一条工務店が設置した場所に問題がありました。 ![]() つまり、マックスの給気口VGK150SDFが壁ギリギリに設置されているため、FY-DRV062に交換できないのです。 右にあと10mmほど隙間があれば、全く問題なく交換できたはずです。 (今までFY-DRV062に交換しなかったのは、こういう問題があったからです) なぜ、こんな不自然な場所に設置されているのかわかりませんでした。 しかし、昔の図面を見なおしたところ、理由と思われるものが判明しました。 この右側の壁にはパイプスペースがあるため、約20cmほど壁が厚くなっています。 ![]() しかし、上図の通り、最終版から少し前の図面を見ると、ここにパイプスペースはありません。 おそらく、後からパイプスペースが追加されたにもかかわらず、給気口の位置が変更されなかったためと思われます。 他の図面も確認しましたが、少し手前に穴をずらしても、まったく問題がなかったはずです。 仕方がないので、FY-DRV062への交換は諦め、VGK150SDFを改良することにしました。 ![]() とりあえず、給気口VGK150SDFを外しました。 なぜかビス止めされていなかったので、引っ張るだけで、簡単に外れました。 そういえば、引き渡し間際のチェックで、給気口が浮いているのを指摘した記憶があります。 そのとき、押し込んだだけで、ビス止めしなかったのですね。 ![]() 給気口を外すと、壁のボードとパイプ(VU塩ビ管φ150)の間に隙間がありました。 ![]() この隙間から屋内外の空気が入るのはよろしくないので、適当なテープでふさいでおきます。 ちなみに、塩ビ管はグラつくことなく、しっかり固定されていました。 つまり、塩ビ管の位置を右の壁から少しも離せないので、FY-DRV062の設置を断念せざるを得ないということです。 ![]() 給気口VGK150SDFの差圧ダンパーは、半月状のバタフライ型です。 ![]() 蝶番には、ダンパーを閉じる方向に働くバネが2つセットされています。 ダンパーは外側に傾けて付けられているので、仮にバネが無くても重力で閉じます。 したがって、このバネは気圧の差でダンパーを開けるか否かを決定する重要な部品ということです。 ![]() 差圧ダンパを閉じるバネが強すぎることで、ダンパーが開ないと考えられるため、バネ1本の端だけを外すことにしました。 適当な工具でバネの端をつまんでずらして、蝶番の隙間に入れるだけです。 ![]() バネの端を外すと、裏側(屋外側)にバネの端が飛び出した状態になります。 これを元に戻すことも可能です。 ![]() 給気口VGK150SDFを元通り設置したところ、レンジフードファンを回すとダンパーが開くようになりました。 やはりダンパーを閉じるバネの力が強すぎたということでしょう。 ![]() 換気扇を止めてみると、無事にダンパーが閉じます。 ![]() ティッシュを付けて検証してみます。 ちなみに、一条工務店標準のレンジフードファンは富士工業製のISR-904SIで、換気性能は次の通りです。
50Hz地域なので、「弱」は170m3/h、「中」は320m3/h、「強」は575m3/hです(0Pa時)。 ![]() レンジフードファンを「弱」で運転すると、こんな感じです。 以前は「強」にしても開かなかったダンパーが、「弱」でも開くようになりました。 ![]() さらにレンジフードの風量を「中」にすると、こんな感じです。 ![]() そして、「強」では、こんな感じです。 給気口VGK150SDFのダンパーが、少ない差圧で開くようになりましたが、いいことばかりではありません。 ・屋外の風圧でダンパーが開く頻度が増える(強風時以外にもダンパーをロックしないといけなくなるかも)。 ・フィルターが汚れやすくなる(何度か洗って使えるものの、交換時には費用がかかる)。 ・給気口周辺が結露しやすくなる(ダンパーが開いていなくても、給気口内では結露していたみたいですが)。 ちなみに、給気口の下はゴミ箱置き場になっています。 参考までに、パナソニックFY-DRV062とマックスVGK150SDFのスペックを比較した結果を載せておきます。 ![]() これは、パナソニックFY-DRV062の抵抗損失曲線です。 差圧動作時の「開」だけでなく、ダンパーを閉じた「全閉」と開放した状態の「全開」時の抵抗損失もわかります。 結露水を外へ排出する水抜き穴があるためか、全閉でも少し通気があります。 上からダンパーを吊り下げているガラリタイプなので、バネではなく、重力で閉じます。 そのためか、少しでも圧力差があると通気があるようです。 ダンパーに錘になるものを貼れば、少しの差圧では開かなくなるとは思いますが。 FY-DRV062は主にABS樹脂と発泡ウレタンでできているので、結露しにくく、結露水の排出経路も設計されています。 ただし、なぜか寒冷地では使えないようです。 ![]() 一方、こちらは、マックスVGK150SDFの圧力損失曲線です。 ダンパーが開かないようにロックしても蝶番には隙間があるのですが、データはありません。 このグラフによれば、15Paくらいの気圧差がないと、ダンパーが開かないようです。 今回、2つあるバネを一つ無効にしたことで、ダンパーが開く差圧が8Paくらいまで下がっているかもしれません。 なお、VGK150SDFには水抜き穴がなく、室内側に発生する結露水が逃げる場所がありません。 そのためか、金属製ダンパーの手前は水が溜まって乾燥したような模様で汚れていました。 たまった結露水が室内側に漏れれば、壁を汚してしまうでしょう。 (関連記事) 一条工務店から届いた交換用給気フィルターの案内で残念な仕様が判明 一条工務店標準の熱交換型換気扇にある問題点と改善方法 トイレの換気扇をOFFにしたときの有効換気量を求めてみる キッチン換気扇の掃除で、とても残念な仕様に気付く ![]() ![]() ![]() (お知らせ) noahnoah研究所は、2016年2月から "http://ito.o.oo7.jp/nnl/" に引っ越しています。 従来のサイト "http://homepage3.nifty.com/nnl/" は、2016年9月29日にサービスが終了しました。 ミラーサイト "http://freett.com/nnl/" は、2016年3月31日に廃止されています。 お手数ですが、ブックマークは "http://ito.o.oo7.jp/nnl/" に変更をお願いします。 → 伊藤@横浜のROOMへ行く → このnoahnoah研究所のブログ内をGoogleで検索する → noahnoah研究所に戻る → noahnoah研究所掲示板(^o^)に行く → 伊藤@横浜へメールを送る ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ※このnoahnoah研究所のブログ(http://plaza.rakuten.co.jp/noahnoah/)の画像および文章は、出典元を示していただければ、私に事前許可を得ることなく、引用していただいても構いません(出典元を示さず盗用しないようにお願いします)。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.10.18 22:59:11
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