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若竹七海と言う作家をご存知だろうか?プロフの好きな作家のところには名前が挙がってはいないけど、文庫やノベルスが出ればキッチリGETして積読しないで読みます。昨日も「依頼人は死んだ」と言う文庫本が出たんで買ってきて、まだ読み終わっていないのにネタにしてしまおうと言う、ネタ切れ直前の足掻きみたいなマネをしています(ウソ)若竹七海の作品リストはここにあったので、ご紹介まで…
「僕のミステリな日常」と言うのは若竹七海のデビュー作です。まぁ、ホントなら「依頼人は死んだ」をネタにするんですが、読み終わっていないし、実はこの「依頼人は死んだ」の主人公・葉村晶はこれが初登場と言うわけではなく、「プレゼント」と言う作品にも登場しており、こちらのほうを読み返してからでないといろいろ書くのが難しいと言う破目に陥ってしまったんですよ。だから「依頼人は死んだ」についてはいずれ機会があれば触れるとして(ないかも)今日は「僕のミステリな日常」です。 若竹七海(これは作者ではなく作中人物)は建設コンサルタント会社に勤めているが、仕事に嫌気が差してきたところに社内報の編集長を拝命することになってしまった。どうにかこうにか乗り越えられると思ったら、娯楽面充実のために小説でも、ってことになったものの予算はない。小説を書いていた大学時代の先輩にお願いをしたところ、匿名作家でよければ、とサンプルを送ってくれた。七海はその作家の作品を社内報に掲載することにした。12本のミステリが掲載された後、七海は先輩のもとを訪れ、匿名作家がなぜ匿名だったのかを推理するのだが… 若竹七海の作品がどういうものかを一言で言うなら「メタ・ミステリ」かもしれない。「僕のミステリな日常」も12編の短編の一つ一つがそれぞれ独立して楽しめる出来なのに、それらを一つに纏め上げるときにまた別個のストーリーを用意してくれている。このあたりは「スクランブル」の解説を読んでもらったほうがわかりやすいんですが、連作短編集でありながら、一つの長編としても成立していると言う、ネスト(入れ子)構造になっているんですよね。つまり一粒で二度美味しいどころか、一冊で何度も楽しめるって感じでしょう。まぁ、こういう情報を知ってから読むのと知らないで読むのとではまるで楽しめ方が違ってしまうんで、大いなるネタバレだと批難されてしまうかもしれませんが、少なくとも「僕のミステリな日常」の場合は上記のあらすじはプロローグに当たる「配達された三通の手紙」から大きくは逸脱していないし、ヒントはあちこちにちりばめられているんですよね。それに気がついてあれこれ考えながら読むか、まるで気付かずに目の前の作品を楽しんで、ボンヤリしてるところを大外刈りで投げ飛ばされると言うのも一つの楽しみ方として許容されますよね? 小説なんて楽しみ方は人それぞれで、どんな読み方をしてもOKだし、全く勘違いした読み方をしても誰からも批難される筋合いのものでもありません。読んだ当人がどんな風に感じるか以上のことは何もないんですから。こんな風に受け止めなきゃ変だとか言う人もいますが、あっしにしてみれば余計なおせっかいで、あっしがどう受け止めようとあっしの自由で、とんでもない解釈をここで紹介しても、それはあっしが感じたことで、他の人が読んだらまるきり違うものであったとしても別におかしいことでもありません。…ってあっしがいい加減なことを書いてる言い訳か?(謎) まぁ、リストを見ていただければ解るようにデビューして12年くらいで20冊しか本が出ていない(うち3冊は未読というか見かけたこともない)という、寡作の人です。寡作だということも含めて北村薫と似た印象も否めません。北村薫と比べると死体がイッパイ出てきますが、トリックよりも動機優先と言うか、人の心の奥底にある闇をサラッとした語り口で書いているんですよね。文章自体はもの凄く読みやすいんですが、そこに書かれているものについて考え出すと、かなぁ~~りブルーになるくらい、ブラックなものがあるんですよ。それもそんなに珍しいものじゃないってのが堪えるんですよ。日常的な不思議の解明が北村薫なら、日常的な悪意の発露が若竹七海なのかしら?ありふれた悪意って誰もが持っていて、いつ自分に降りかかってくるかもしれないってのがちょっぴりホラーかも(^^ゞ 若竹七海って本屋さんでもほとんど置いてないから手に取るのも難しいかもしれませんが、見かける機会があったらチャンスの前髪を掴む感じで読んでみてはいかがでしょうか?<宣伝か?(爆) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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