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2003年06月19日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
つーのは若竹七海の作品です。10日も経っていないのにまた若竹七海かって思われるかもしれませんが、この一週間で10冊ほど読み返しているうちに、ちょいとあっしが言わんとしようとしてることにピッタリの会話があったんで紹介する気になったんです。

昭和7年、1932年3月、今は横浜山下公園に繋ぎとめられている氷川丸は北太平洋航路に就航しており、香港を出発して神戸、横浜を経てバンクーバー、シアトルへと向かうその船上でのお話です。本山高一郎は資産家の家に生まれ慶応義塾を卒業したものの西洋探偵小説を読むくらいでまともに働こうともしないので荒療治として北米大陸に放り出されることになった。シアトルに幼馴染の父親が貿易商を営んでいるのを頼って氷川丸で渡航することになったのだ。渡航の前日高一郎は上海にいるはずの友人・河坂に「タイタニック号で書かれた短編小説」を買わされる。氷川丸には頼っていく幼馴染の牧野が乗船しており、バンクーバー在住の日本人少女・サラや氷川丸で知り合った人たちとこの短編小説についてあれこれ意見を交わすことになったのだが…

まぁ、1932年3月と言うと満州国建国のときです。リットン調査団が派遣され、日本は国際連盟から脱退するその直前の時期で、中国やアメリカでは反日感情が高まっており、アメリカに移民した人たちは肩身の狭い思いを強いられつつあったんだけど、国内でのほほんと育った高一郎は満州国の建国についても日本が中国から戦争をして奪い取ったと言うことがわからない。「日本と中国は戦争なんてしていない」と頭から信じており、アメリカとの関係が急速に悪化していることについてもありえないこととしている。シアトルに住む牧野は自分の立場が悪くなっており、日本人ではなくアメリカ人として振舞おうとするし、高一郎についても半ば呆れ、半ば心配していろいろ忠告したりしている。

そんな乗客の中にハワイ在住の中国人で警官の張大人がいる。彼は香港での事件が解決しハワイに戻る直前にシアトル近郊に住む友人から助けを求められ、ハワイに戻るのを先延ばしにして氷川丸に乗ったのだ。反日感情が強まり、不買運動も起こっているときに日本船籍の船に乗るのは一種の裏切り行為だが、友人のために敢えて氷川丸で旅することにしたのだ。そんな彼が高一郎と日中関係について語り合うシーンがある。その場面のセリフだけを引用してみましょう。

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「サラに言われました。言われるまで、ぼくは思いつかなかったが、大陸の中国人のなかには、日本の政策を嫌っているものもいる、嫌っているだけではすまない人たちだっているでしょう。サラは戦争と同じようなものだといった」
「日本のあるひとたち言います。中国人、みんなずるくて怠け者、馬鹿で貧乏で誰かが助けなくてはならない、と。中国のあるひとたち言います。日本人、残虐ですけべ、けち、無償で人を助けない、心の狭いやつら、と。考えてください、中国人のところに私の名おく、日本人のところにあなたの名おく。どう思いますか」
「あなたが怠け者だとか馬鹿だとは、絶対に思えませんね。あなたが馬鹿なら、ぼくはいったいなんなのでしょう」
「あなたの心狭い、私も思いません。あなたは誰かのために苦しんでいる。それに、こうも思います。あなたが、一人だけ特別な日本人ではない。中国人、日本人、それぞれたくさんいる。なかにはずるい、怠け者、けちで残虐、いろいろいる。状況によってそうなるものもいる。でも、すべてがそうではない。なのに、その性格に全員をおしこめる。これ陰謀です」
「陰謀、ですか」
「そう、陰謀。個人的に好きな人、殺せと言われて殺せる人なかなかいない。そのままでは戦争にならない。でもよく知らない、悪い性格の人を殺しにいく者なら、英雄になる。私がもし戦争を始めようと思ったら、相手にとって悪いことばかり言い触らします。知らなければひとはすぐ信じる。知っていても、百回言われたら本当かと思う。陰謀に負けないためには、自分の目を、心を、信じること。世の中のなにごとも、黒と白に塗り分けるできない。良いものあって、悪いものある。おかしいと思うこと、たくさんある。そのほとんどに答えなどないのです。(後略)」

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かなり長い引用ですが、そこは勘弁してもらうとして、何が言いたいのかはお解かりいただけると思います。アフガニスタンにしてもイラクにしてもそして北朝鮮にしても我々は何を知っているのでしょう。アフガニスタンやイラクで犠牲になったのはホントの無辜の民で、ブッシュさんなどが喚きたてなければ死ぬことも傷つくこともなかった人たちです。だからいまだにイラクではアメリカ軍などに対して散発的にゲリラ活動が行われて数十人もの死者がアメリカ軍のほうにも出ているようです。

北朝鮮についても確かに拉致などは赦せないものです。しかし、多く見積もっても数百人の人たちを「救う」ために数百万人もの北朝鮮の人たちを飢餓に苦しませることをしても良いのでしょうか?拉致被害者の家族たちは北朝鮮に賠償請求をするらしいんですけど、かつて数万人、数十万人規模で日本やサハリンなどへ強制移住=拉致された半島の人たちに対して我々は一切の謝罪も賠償にも応じていないと言う事実をどう受け止めるのだろうか?「過去の歴史的事実」に対して時の首相が時折頭を下げるようですが、本気で謝罪しているようには見えないのってあっしだけかな?だって頭を下げるときには必ず「与党幹部」などが「頭を下げる必要などない!」って喚くんですから、あくまで形式的なものと捉えられるのが普通だと思うんですがね。

北朝鮮についてはいずれまた触れるとして、今から70年くらい前の述懐が今また意味を持ち始めていると言う事実になんとなくやりきれなさを感じます。「ウソをホントと信じ込む」ことが高じて人を殺してもなんとも思わなくなると言う例がホンの数ヶ月前にあったことを考えると、似たようなことをしたいと思っている人が永田町近辺にいるのかなぁって…





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最終更新日  2003年06月19日 14時34分45秒
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