現代の多くの家庭が直面する静かな危機、それは表面的には仲が良さそうに見えるが、実は深い孤独に覆われた家族関係である。
家族によって生み出された問題を、それぞれが別々の部屋に閉じこもって背負い込み、食事の時間は心の通った会話はほとんどない。
このような状況下で、家族はどのようにして真の絆を取り戻すことができるのだろうか。
そのことについて見ていきたい。
目次
1. 孤立する家族
2. 代償行為による孤独の埋め合わせ
3. 問題に直面した時の団結
4. 愛の学びと実践の難しさ
1.孤立する家族
普段、家族はそれぞれの部屋にこもり、ほとんど会話を交わすことはない。
仲が悪いわけではないが、全員の心には孤独という名の病理が巣食っている。
食事の時くらいは会話をするものの、内容は時事報告や他人の話題に終始し、そこに充足感はない。
面と向かって話し合わなければならないことを避け、気分の波によって訪れる怒りや不満は堂々と伝える歪なコミニケーション。
父親は仕事に悩み、母親は子供の悩みを父親に相談できずに悩み、子供は学校で起きている問題をそんな両親の様子を見て判断し、相談しようとしない。
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2.代償行為による孤独の埋め合わせ
親が心を通わせる方法を知らなければ、子も同様にわからない。
子供は親に受け入れられていると感じたときに初めて、自分の心の内を明かす。
自分のことで手一杯の親のしわ寄せが押し寄せ、子供も次第に手一杯となる。
家族の各々がひとりひとりに問題を抱え込み、誰にも相談できない心の穴を埋めようとして、仕事、介護、酒、ゲーム、異性、掃除などに没頭して、心の葛藤をなかったことにしようとする。
しかし、こうした代償行為では豊かな心を育まれず、自分を思いやって初めて他人を思いやることができる「愛」というテクニックは手に入れることができず、充足感は決して得られない。
結果、歪んだ形で一致団結することになる。
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3.問題に直面した時の団結
家族の誰かがが病気になったり、誰かに暴力を振ったり、ご近所の不祥事を耳にしたとき、親戚の金銭などの問題に直面した時、家族は驚異的な団結力を見せる。
自分たちの事は棚の上に上げた状態で、他人の善悪を評価することに心を砕く。
瞬間、脳裏によぎる他者攻撃による優越感からくる一種の「快楽物質」が一家を包み込み、一時的にそれぞれが充足感を得る。
物事のほとぼりが冷めて、話題性がなくなると再びみんな揃って各自の部屋に戻り、自己の問題に心がさいなまれる。
陰口や悪口、見下すような発言をしてしまったことに自己憐憫し、心が傷つくのを守るために、また自分と家族以外の外部環境に問題を見出そうとする思考が無意識に発生する。
家族の問題は解決されることがないので、マグマのように溜まった感情の火山は定期的に噴火する。
先ほども記述したように、面と向かって話し合う冷静な解決ではなく、感情に振り回された勢いでさらに問題をカオスにする。
家族全体が、真剣に根本にある問題を解決しようとしない限り、この繰り返しが続く。
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4.愛の学びと実践の難しさ
愛を学び実践することは、世界で最も難しいことの一つである。
愛されて育った人ですら、ときに愛する人に心をえぐられるように傷つけられることがあるのに、愛を知らずに育った者が愛を与えることは至難の業である。
このような家庭で育った子供たちは、大人になるとパートナーを求める欲求を押さえつけようとしたり、友人を含めた人間関係の構築を避ける傾向が出てくる。
「1人が好き」と言い聞かせながら、小さな頃から学んだ「目の前の物事に没頭する」と言う代償行為に走る。
愛を知る事は、愛を知らない人にとっては苦しい。
なので、その人がどんな選択をしようと、その人を責める事は誰もできない。
まさに「知らぬが仏」
無価値感にさいなまれた人間は、時に常人には理解ができないほどの努力を行い、自分の価値観を見出そうとする行為があり、それは秀でた成果を出すと言う素晴らしい側面がある事は言うまでもない。
苦しみを経験してきた人だからこそわかる、人の苦しみ。
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