ある日どこかで

2006/05/19(金)17:16

『ホテル・ハイビスカス』

日本映画(52)

以前から気になっていた映画だが、夕べwowowで観る事ができた。 一言で 「おもしろかったー!」 沖縄の小さな町にある、客室が一室しかないホテル・ハイビスカス。そこを経営しているのは、三線とビリヤードが得意な父ちゃん、夜はバーで働いて毎晩「かせいでくるねー」と出かける明るい母ちゃん、母ちゃんと黒人とのハーフのケンジにぃにぃ、白人とのハーフのサチコねぇねぇ、くわえタバコのおばあ、そしてこの家の末っ子元気一杯の美恵子。 ある日美恵子は学校の帰りに、行き倒れた男性をホテルへ運んでくる。その日からその男性能登島はそこへ長期滞在客として、と言うか半ば家族として一緒に暮らしていく。 この美恵子がスゴイ。お転婆というよりもっと強烈。おとこまさりというよりもっと破天荒。女ガキ大将という感じで、いつもガッパイとミンタマ-という子分的存在の男の子達と一緒に行動している。男の子を殴る時も容赦しないんだから。 元気一杯の美恵子だが、母ちゃんがサチコねぇねぇとサチコねぇねぇの本当の父親に会いに二人でアメリカに行った後、ベッドでワァワァ泣きじゃくる。それでも母ちゃんの留守の間も明るく、好奇心一杯で毎日元気に暮らしている。 ある日美恵子は、アメリカに行っている母ちゃんから来た便りを届けに、2,3日みやぎという村に働きに行っている父ちゃんに会いにわざわざ遠い道程バスに揺られて行く。そして、そこでキジムナーに詳しいタンメーに出合いいろいろ教えてもらっているうちに、本当に美恵子はキジムナーに出合う。 夏休みの短い期間に、美恵子はいろんな経験をして成長していく。 キジムナーや三線、お盆の行事、戦争、米軍基地の問題、家族の大切さなど、この映画では声高らかにではなく自然と語られている。 野放し状態で育てられている美恵子役の蔵下穂波ちゃんという女の子の演技が、とっても自然ですばらしい。演技をしているんだろうか?演技だったらとっても上手。でも、もしかして本当に自然体のまま?それならそれでスゴイ女の子だけど。 家の近所にここまですごくないが、ちょっと美恵子に似た感じの女の子がいた。今では小6になりもう随分女の子らしくなったけど。でも、何学年かに一人くらいはこんなに元気のいい女子がいたな~って思い出させてくれた。 お盆に「先祖はどこに来ている?全然見えない!」と叫ぶ美恵子だが、ある時友達にからかわかれその子に石をぶつけた事で父ちゃんから怒られた美恵子が一人公園のブランコで揺られていると、あなたのおばさんのタエコと名乗る同年代の少女に出会う。この少女も美恵子のような感じなのだが、この少女と出合った事で先祖が本当にいるんだとわかり、神妙な気持ちでお盆が終わるときご先祖さまを送り出す。 沖縄独特の風習や言葉が出てきて興味深いし、美恵子以外の役者さん達も味があってとっても良い。NHKの「ちゅらさん」に出ていたおばあの平良とみさんや母ちゃんの余貴美子さんも出演。 一度でこの映画のファンになった。 おかしくて(何度も吹きだしてしまった)、しんみりして、そして元気を一杯もらえた映画だ。

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