2007/02/27(火)15:40
『夕映えの道』
≪イザベルの生き方も変わる予感≫
パリのルトレ通り。会社を経営するイザベルは、ある日薬局で老女マドと出会い、彼女のアパートまで送り届ける。そこは古くて、まるで19世紀の暮らしをしていると思えるほどだった。イザベルはこの日以来孤独に暮らすマドの事が気にかかり、しばしば彼女のアパートを訪れるようになるが…
イギリス人作家の原作の舞台をパリに移して描かれています。
マドはお世辞にも「かわいいおばあさん」ではありません。人を簡単には寄せ付けない頑固さ、愛想なし。でも、イザベルは古いアパートで孤独に暮らすこの老女が何故か気にかかって仕方がない。疎ましく思われようが、悪態をつかれようがそれに負けない強さでぐいぐいマドのもとへ入って行きます。
そこまでやるのはおせっかいかな、と一瞬思うのですが、次第にイザベルに心を開いていき自分の過去を話すようになるマドを見ていると、彼女の過去の多くの苦労や、やさしくしてもらった事があまりない、そしてやさしくされてもいずれそれは遠のいていくものだとマドが知っているからこそ、簡単に人の好意を受け入れられないのだとわかってきます。それを考えると悲しいんですよね。おせっかいと思ったイザベルの好意もそれが本物だったからこそマドが心を開く事が出来た。恐らくこのイザベルの過去にも何か訳があるのかもしれません。自分の母親の面倒を見られなかったとか。
人は必ず歳を取る。マドは寂しい人生を歩んできた人でしたけど、人生の最後の方でイザベルのような人に出会って幸せだったのだと思いたいです。
マドとイザベルのアパート、マルシェなどパリの下町の雰囲気が伝わってきました。
ふたりがその街並みを並んで歩く姿が微笑ましくもあり、哀しくもある。
なんだかジワ~ッときてしまいました。
RUE DU RETRAIT
2001年
フランス
監督/脚本:ルネ・フェレ
原作:ドリス・レッシング
出演:ドミニク・マルカス、マリオン・エルド、ジュリアン・フェレ、サシャ・ロラン
DVD