ある日どこかで

2009/06/25(木)17:01

☆何がジェーンに起ったか?☆

アメリカ映画(309)

怖かったァ~ッ! 凄かったァ~ッ!  名子役として一世風靡した妹ジェーン。しかし、成長後は仕事も無く、逆に姉ブランチは遅咲きながら実力派女優として名を馳せていた。そんなある日、ブランチが交通事故で下半身不随となってしまう。 時は過ぎ、二人は古い屋敷に人目を忍んで暮らしていた。孤独な中、ジェーンはアルコール中毒になり、奇行が目立ち始める。そして・・・ ベティ・デイヴィスの有名な作品です。でも、私何にも知らないで観てしまいました。まさか、こんなに恐ろしいサイコサスペンスだとは思いもせずに・・・ 『ミザリー』はこれを基にしてるんじゃないか、と思うような展開ですから、動けない姉に対するジェーンの行為はどういうものか想像できるのではないかと思います。おそらく、後のサイコサスペンスやホラー物に多大な影響を与えたのではないでしょうか。 姉妹を演じる2人の女優の演技が凄い。 ブランチ役のジョーン・クロフォードは、車椅子生活でままならない身体と、そこへ来てジェーンからの恐ろしい仕打ち。我慢をし恐怖に慄きながら、時にその恐怖や不安を爆発させる。それも普通に爆発させはしないのです。彼女の顔が震えを感じているのを見て取れるような。 そして、とにかくジェーンを演じるベティ・デイヴィスの怪演には、怖いもの見たさの、途中からずっと目を離せなくなり、長い作品ですが一気に見てしまったという印象。とんでもないものを姉のおかずに入れたり、電話を引き抜いたり、そういうのは朝飯前。おまけに姉の声色を使って騙したり。悪知恵の働くアル中患者。ブランチをいたぶり、しまいにはレスラーばりのパワフルキック。コワイですゥゥゥ。 ジェーンは被害妄想も進み、あの特徴のある大きな目は半ば狂った状態で更に大きく見開かれ、白眼が強調されてその形相は恐怖を倍増させます。精神的に、肉体的にブランチを虐待し、顔は恐ろしく老け顔になりはっきり言って醜い。心根が腐っていると見かけまで悪くする、そういう恐ろしい顔になっているのです。何もかも怖いジェーン。まだCGなど無かった時代にこれだけ醜悪な顔を作るのはさぞ難しかったのではないか、と思うのですが、同時にデイヴィスの演技がその顔を作り上げたとも言えます。 こんなに圧倒されるのは又別の理由もあり、彼女が白塗りの顔にヒラヒラフリルのワンピースを着、幼き頃に自分に戻って歌い、踊るシーンが圧巻。それはおどろおどろしいのだけど、いつもと全く違った柔らかい表情で、白黒の映画なのに彼女の紅潮した顔色が見えるかのよう。別の意味で怖い。恐るべしベティ・デイヴィス。 姉妹の確執を描いていますが、ブランチは何故もっと強く出ないのか、とかジェーンはあんなに姉を嫌っているのに何故世話をしているのか、等と不思議に思っていたことがラストで解決します。そして、それを知ってからのジェーンの変貌ぶりが見事。今までの醜い顔がうそのように美しく、そしてアイスクリームを注文する時の表情がいじらしい。思いもしなかったラストとジェーンの変貌に、何だか涙が出そうになってしまいました。 ジェーンの残虐さが強調されているけど、本当に残酷だったのは・・・ 同じ職業であるが故に、姉妹であるが故に、お互いのジェラシーもついて回って一時も忘れる事が出来なかったのかも。 いろんなシーンでの演出は素晴らしく、脚本も練り上げられているという印象でした。 見るのにエネルギーが要る映画ですが、これは面白かったです。 そして、「ベティ、あっぱれ!」 WHAT EVER HAPPENED TO BAYBY JANE? 1962年 監督:ロバート・アルドリッチ 脚本:ルーカス・へラー 出演:ベティ・デイヴィス、ジョーン・クロフォード、アンナ・リー、ヴィクター・ブオノ   他 何がジェーンに起ったか? / ベティ・デイヴィス

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