2010/02/26(金)22:51
真央ちゃんへ
終わってしまいました・・・
キム・ヨナの今日の演技は、あの独特の雰囲気の中実に落ち着いて素晴らしかったです。今の採点方法、選曲、衣装に至るまで研究しつくして来た成果だと思います。振り付けなどの好みは別として、完璧に要素を滑りこなした見事さは、ライサチェックと同様現在のルールのお手本だと言えるでしょう。「おめでとう」
真央ちゃん・・・
素晴らしい出だしでした。
高いトリプルアクセルで度肝を抜かれそうでした。
続くトリプルアクセルを入れたコンビネーションジャンプも圧巻。
表現力も凄くて、もう彼女の演技に惹き込まれて、スパイラルのところで泣きそうになりました。
でも、3連続ジャンプでちょっとつまり、その後のジャンプで・・・一体何が起きたのでしょう?
その後私は「最後まで頑張れ!」と言ってはいましたが、普段は怒涛のごとくたたみかけるラストに向う迫力のステップを、実は今日は覚えていません。
ロシェットの演技の時は、もう心ここにあらず。
未来ちゃんの時もやっとウル覚え状態。
現在の採点方法では、そしてある選手への異常な点上げでは、今回の真央ちゃんのプログラムでは、万が一ジャンプを失敗すれば勝てないことはオリンピック前からわかっていました。多くの関係者はそう思っていたはずです。
私もシーズン初め、フランス大会、ロシア大会を見たときはこれは・・・と思いました。まず彼女に合っていない。曲が重厚すぎる、難解すぎる、プログラムが難しすぎる。 もう「~すぎる」のオンパレードで。
結果も全然出てないし、グランプリファイナルには出られない始末。
多くのファンからも、特にファンでない人も、同じ意見の人が多かったようで、いろんな所でプログラムや、タラソワさんの事まで言われていたようです。私も、タラソワさんの事は別として、彼女は絶対に曲を変えて新しいプログラムを作るべきだと思っていました。
しかし、真央ちゃんの出なかったGPファイナルを観てちょっと考えが変わり始めました。彼女はただ自分の信じる道を行くしかない、と。いろんな事が分かっているはずの真央ちゃんが、だけど自分が「そう」だと思っている道を行くしか。
そして、先日NHKの特番を観ました。
彼女がどうしてこの曲で行こうと決めたか、そして、変えなかったか。
「一度もこの曲でパーフェクトに滑っていない。ちょっと位うまく行かなかったからって変えるのはどうかと。それではタラソワ先生にも申し訳ないと思って」と彼女は言いました。「パーフェクトに滑った時に、どの位の点数が出るのだろう」
とても強い意志を感じました。
タラソワさんは、ロシア大会で惨敗後、彼女を日本へ見送った後に1人彼女の好調時のビデオを観ながら、「真央、あなたは強いわ」と一筋の涙を流しました。
この番組を観終わって、私は泣いていました。
真央ちゃんはロシア大会後はテレビの前に現れることなく、1人黙々とスケートリンクで練習していました。ロシア人のコーチは来日していません。
毎日毎日、1人っきりで。
いいえ、そこには大学の仲間もお姉さんの舞ちゃんもいたことでしょう。でも、オリンピックを目の前にしてどんなに不安だった事か。代表落ちも考えられる状況だったのですから。
それでも、自分で改善すべき所を見つけ、そして、全日本で復活してくれました。あの時の『鐘』にフワッと鳥肌が立ち、今日も途中まで、あの時より数倍も惹き込まれるような演技で、目が釘付けになりました。
私はNHK特番を観た後、彼女が負けた場合多くの人は、「やっぱり曲を変えるべきだった」とか「大技ではなくて完成度を高めるべきだった」と言うだろうけど、彼女の信念と、困難なものに立ち向かってきた努力を絶対に認めてあげよう、と思いました。
悔しいね・・・。
キム・ヨナに負けたから、銀メダルだから、の悔しさじゃないね。
あんな所でミスをしたから、実力を出し切れなかったからだね。
だから、悔しくて悔しくて、演技直後のインタビューの質問にもちゃんと答えられないくらい乱れてましたね。
表彰式でも、ウィニングランでも、今にもこぼれ落ちそうな涙を必死でこらえていました。きっと悔しさが、後になるにつけジワジワと込み上げてきたのでしょう。
全力出し切ったパーフェクトの演技なら敗れて悔いなしだけど。
「銀メダルおめでとう」 と言う言葉をかけていいのかもわかりません。
でも、分かっていた筈なのにあの難解な曲で滑る事、トリプルアクセルを入れること、それもショートと合わせて3回も成し遂げようと努力して、そしてそれを実際やってのけた偉業、出られなかった4年前から今まで、特に苦しんだこの一年間を思うと、やっぱり真央ちゃん、あなたは凄い人だよ!この強さは何なんだろう?
19歳の少女が今まで女子選手が誰も成し得なかった事を、男子でも失敗するあのトリプルアクセルをオリンピックで3回も成功させた。そして、『鐘』のテーマの「乗り越える」を本当に体現させようとした、あの迫力は凄かったよ!
だからやっぱり、金メダル以上の価値のある銀メダルだね。
半分悔しい銀メダル。
思いっきり泣いてください。心行くまで泣けばいい。
そして、又、きっといつもの笑顔の真央ちゃんに戻ってくれると信じて。
今はそれしか言えないけど。
今日は疲れたね。
しばらくは、ノンビリ出来たらいいね。
今までの努力に対しての銀メダルです。
本当に、本当に良く頑張ったね。
*安藤選手と鈴木選手については、別記します。