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のいちご文学館

短歌 【大阪平野】

大阪平野(一)

     貴博君に捧げる

                                     

黄泉国へ一人旅発つ別れの朝
母の形見の数珠を手向ける

兄よりも義姉より早く逝きし君
施餓鬼の読経に救われたまえ

曼珠沙華今年の夏は殊更に
真っ赤に咲いて悲しみ告げる

万灯会一人一人に去来する
君の青春 君の人生

ほおずきを咥えて鳴らす初の盆
生まれし頃の君に逢えたり

白菊に埋め尽くされし祭壇の
二十才の頃の君の笑顔よ

あまりにも若すぎるよ
あまりにも悲しすぎるよ三十三才の夏

迷いきた燕飛び交う君の部屋
悲しみ告げに御魂舞いしか



大阪平野(二)

       貴博君に捧げる

                           
ここそこに君が刻みし柱瑕
擦ればいのちの温もり伝う

さよならの別れを告げるいとま暇なし
なにを語るや閉じた唇

閉じられし瞳の奥に映りしか
兄・義姉・姪の悲愴な姿が


慟哭をあますことなく持って行け
明日という日が始まる前に

明日からは仏になりぬ君なれば
菩薩となってわれら我ら衆生を救え

故郷の大阪平野見下ろして
生駒の麓に君は眠りき



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