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カテゴリ:☆紀行の森
白 山 へ
( 35) 母衣崎健吾 第5章 友よ、君の分まで僕は生きる! (7)豪雨 バス運休! その夜は予期したよりも格段の豪雨だった。夜中、頭上でこれまでに体験したこともないような雷音が轟き続けた。余りの雷音とテントを押しつぶす程の豪雨に宿への一時避難をと思ったが、これまでも登山中に三度の直撃台風に遭いながらも山小屋に避難したことがなかったので、辛うじて踏み留まった。 幕営続行と決めたら、雷音もテントを打ちつける雨音も、オーケストラの演奏のように心地よい響きであった。 翌朝、テントを撤収して宿の前のバス停に行ったら、張り紙があった。昨日確認した時は何もなかったのでその張り紙をみると、昨夜の豪雨でバス道が寸断され、駅から中村口までの降り返し運転になるとの注意書きだった。 地図で確認すると、鳩ケ湯から中村口までは三キロもあった。 宿にお礼を言って渓谷沿いの道に踏み出した途端、道の至るところに大きい岩が転がり落ちていた。 《何ということだ。こんなに雨が凄かったのか。これではバスが運休するはずだ》 中村口までの道や渓谷や山肌の惨状は目をおおうほどであった。台風一過で、空は雲一つない青空であったが、私の心は暗く重たかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年01月11日 06時20分07秒
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