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カテゴリ:スポーツ全般
かつて正道会館館長・石井和義氏が「千年に1度の一撃」と呼んだ試合があった。
2000年4/23日 大阪ドーム 「ジェロム・レ・バンナvsフランシスコ・フィリオ戦」 (上から6段目) デビュー戦でアンディ・フグを一撃KOし、それ以来「一撃」をキャッチフレーズにしたフィリオと、まさにハイパーバトルサイボーグの名に実績が追いついてきた感のあった、バンナの初対決にして、もう2度と観る事の無いであろう一戦。 この時、フィニッシュとなったバンナの左ストレートの衝撃にも匹敵するような戦いが、昨夜の山本“KID”徳郁の戦いだった。 たった4秒の戦い。 だが何度も見直すと、ただ飛んだヒザを捕りに来た宮田の頭が当たっただけの、ラッキーではないのが良く解る。 KIDは、目線を落とし気味にしながら、1歩目を小さく踏んでいる。 (ほんの小さな“間”だけど。) この時、もちろん宮田の中にKIDの突進と言うオプションを、想像していないという事は無かっただろう。 むしろKIDと言えば、アマレスの土壌がありながら、KOのほとんどが立ち技(パンチ。) だとすれば選択肢として考えていたとは思うのだが、最初の小さな一歩で、それを捨てたかあるいは躊躇したか。 いずれにしろゆっくりした入りを想像したのだろう。 ところがその後のKIDの、2~3歩目。迷いの無い加速力が凄い。 そこで宮田は一瞬身を引くのである。最終的にはこれが命取りとなった。 一気の加速から踏み切りに入った4歩目で、宮田はヒザを捕るべく幾分前かがみに身体を前に向ける。 だがその時点で、左足はリングから放たれてしまっている。 しかも、あの早い動きの中でも、宮田の頭の場所から視線が外れていない。 踏み切った足を相手の頭にめがけて、的確に当てに行ってるのである。 宮田は、最初の瞬間に対応できなかったせいで、ガードするにも捕りに行くにも、間に合わないほどに手が開いてしまっている。 結果、ほぼノーガードの顔面に、KIDの体重と加速度が最大限に乗った“ヒザ”が、ぶち込まれたのだ。 何度見ても、恐ろしい衝撃力である。 まさに「総合版・千年に一度の一撃」は、この一発に尽きる。
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