満ちて、月

2017/08/19(土)18:15

どこかで愛されていたなら

夢ばなし(26)

              3月30日見た夢は、リアル過ぎて違和感のある夢だった。             何と言うのか、人物の背景というか描写と言うのか妙に細かくて、             後になって、あれ…そういえばこんな細かい登場人物の人となりというのは、             珍しいなあと思った。              覚めた時にあまりに現実感があったので夢とは思えなくて、             いつもの夢ではなく、パラレルワールドのような別な世界へ本当に行って、             あたかも実際に経験してきたことのような、初めての感覚だったのだ。              その人は年下だった。             普段海外で暮らす彼が帰国して、久し振りで逢ったのだった。             そういえばこの前は、一体こんな私のどこをそんなに気に入ってくれたのか、             困ってしまうほどに求婚されて、必死でお茶を濁していたんだったなあ。             奥さんとは死別して、中学生の長女、下に長男次女の3人の子どもが             いたんだったなあと、私は夢の中で回想していたのだった。             それで今回もやはり私は、彼から猛烈に口説かれており…。              彼は寿司職人だったか、とにかく日本食の料理人だった。             私のために久し振りに腕を振るうからと、張り切っていたのだった。             本当に優しくて、良い人なんだけど。             彼と結婚するということは、当然私は海外へ一緒に行かなければならない。             環境の激変で心身が不安定になるのは必須なので、100%無理な話しだった。              けれど彼は小さなことは気にしない、極めて楽観的でおおらか、かつワイルド。             繊細な部分が、なかなか理解してもらえないのだった。             どうやって申し出を断ったらいいのかと、私の目の前で私の苦手な寿司を             笑顔で握る屈託のない彼に、好感を持ちながらも内心困っていた私だった。             『私が魚嫌いだってこと、前も話してるんだけどな…』( ̄▽ ̄;)              それなのに時たま、気を緩めると、フッと腰が砕けそうな素敵な口説き方を             するものだから、男性としてはとてもセンスのある人なんだと思う。             実は私がその時に思いを寄せていたのは彼ではなく、彼の上司のような             兄貴分に当たる人だった。              どの辺りから場面が変わったのか、彼の長女から半ば説得と言う形で話しを             聞くことになった。             お爺ちゃんはタイ語の手話が出来る人で、それが出来る人が求められて             いるんだけれど、今現在は父しかいなくなってしまったんですと…。             なのでタイへ戻らないわけには行かないと。             人生で一度も海外へ行きたいとも思ったことがない私。             他にもいろいろな事情を、彼女から聞いたのであろう私は、             父親思いで、小さな弟や妹の世話で大変あろうやさしい長女が、             こうして私を必死で説得しているのにもかかわらず、彼女のまだ細い肩を抱いて、             涙するしかなくて。              その後長女が父親に、そのことを報告していた。             やはり泣かれたと…。             そうか…と彼。              ここら辺までは30日のうちに書き止めておいたのだけど、             その後どうなったのかもう覚えていない。             実際にそれに近いことがあったんじゃないの~?なんてことは、             残念ながらありませんっ…。              彼らの名前もあったんだろうに、忘れてしまった。             もしもそれが本当にパラレルワールドの出来事で、次に逢えた時に、             もう一度求婚してもらえるのだったら、思い切って申し出でを受けてみようかなあ…             なんて思ったりしてね。             ひょっとしたら、今までと全く違う日常が、良い刺激になることだって、             無きにしも非ずだし、若い彼なら全力で私を守ってるかもしれない。              ありがとう、夢の中の彼。懲りることも無くこんな私をまた口説いてくれて。             どこかの世界に、幸せに暮らしているあなたと子どもたちと私が、             本当に存在したら良いのにね。             もしかしたら違う世界で、また誰かに真剣に愛してもらったのかもしれない。             そんな風に思えたなら、それはそれでとても幸せだったりするのだな…。 ★ George Michael - One More Try ★ 

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