天使の降りた家

先日、整形外科の定期診察がありました。
今回から今までお世話になっていた先生がご高齢になり職務を減らしていく関係で
新しい先生にチェンジとなりました。
その、初めての先生との初診で。

今までの骨盤や背骨のレントゲンを見ながら
実際にベッドの上で横になったり抱っこしたりして、体を診察。
弦人は緊張はしていたものの、体を触られるのは結構平気で
マッサージされている気分でご機嫌な様子。
しかし、力が抜けていても膝の伸びが悪い。

「股関節の動きは悪くないですが、膝裏が硬直し始めていますね。
背骨も若干歪みが生じ始めています。
緊張の強い太ももにボトックスを試されてはどうですか？」と。

ボトックス・・・・

あぁ、ついに来たか・・・

ボトックスとは過緊張にある筋肉にボツリヌストキシンを注射して、
硬くなっている筋肉を休ませるもので
痙縮や硬直の筋肉に効いて、柔らかくなる作用があります。

今までも緊張の強い症状に対しては、
神経内科では内服薬を。
弦人の場合は漢方がよく効いたので、それで調整していました。
リハビリではマッサージや動かす事で、それらを緩和しようとしていました。

それでもどうしても緊張が強く、足がクロスする時間が多かったり
亜脱臼が酷くなって来たり、背骨が変形しそうなら
外科的な治療の、ボトックスか、手術で緊張の強い筋肉を切るか・・・
となります。

これに対しては、外科手術は痛みを伴い本人の負担も大きいので
出来るだけ最終手段に・・・避けて通れるのなら避けたいと思っていました。
弦人は緊張が入る時はピーンと入るけど、脱力している時間もあり
まだ大丈夫かな・・・なんて考えていた矢先でした。

ボトックスは一回１０か所位の場所に針を打ち、
３・４か月毎に打ち続けなくてはいけない。
針を打つ痛みもあるし、ボトックスを打った後に体がどう変化するのかも分からない。
痛みのある注射を何度も打ち続けるのは本人の負担にもなるし
長く打ち続けるものではないらしい。（段々効き目もなくなるそうで）

外科手術は、緊張の強い筋肉を切ってしまう。
切るから痛みもあるし、傷が治るまでは２週間ほど入院する必要がある。
そこの部分を切るとどうなるか分からないから、まずはボトックスで試すのが一般らしい。

どちらにしても、今まで強く頼っていた筋肉を働かせなくするので
今まで出来ていたことが出来なくなる可能性もある。
寝返りやウォーカーの練習をしているが、それも出来なくなる可能性がある。

先生からは、「成長期の２・３年を目安にボトックスをしてはどうか？」と。
成長期に緊張が強いと変形になり易い。
ぐぐぐっと身長が伸びる時期に、ボトックスを打ってはどうか、と。
一度変形したら、矯正するのはなかなか難しいそう。


そして
「最終的には、ご両親の判断になります」の一言。

出た！！
最終的には親が決める！！


もう、この一言・・・。
今まで何度言われただろうか。

弦人の様に、本人の自己判断が難しい場合
当たり前の様に、決定権は親がする事になる。
彼の人生の大事な決定の全責任を、親がしなきゃいけない、この重圧。

親もただの人間なんだよね・・・。
それも、医療の事も障がいの事も、何にも知らないで
ここまで生きて来た普通の一組の夫婦が
突然、障害のある子が生まれた途端、全責任を一気に突きつけられる、この恐怖。
分かって貰えるだろうか。

初めて経管栄養の管を入れる時もそうだった。
今まで鼻から管なんて、とても考えられなかったのに、
突然、「こうやってこうやります」とマニュアルを見せられながら説明を受ける。
そして、はい、今日から親なら自宅でやってもいいです・・・って。

もう、喉の仕組みも、鼻の仕組みも何にも知らないのに
ヘルパーさんでさえ、経管栄養をしてはいけないのに
いきなり、数分の説明で
はい、今日からやって下さいって・・・。

親と看護士なら大丈夫です。
他の人は医療行為なので出来ませんって・・・。

親なら何でもやれると思ってますか？
医療行為って、そんな簡単に教わって出来るんですか？
って突っ込みたくなったよ～。
（あぁ、実際にはかなり練習が必要で、親も子も泣きながら練習しましたが）


おっと、話が反れましたけど
そんな訳で、ボトックス、外科手術ね・・・。

とにかく、今の日本では、親が最終判断をしなくてはいけないので
ボトックスの治療をした人
反対に、ボトックスを選択しなかった人
手術をした人、しなかった人。
色んな先輩たちの話を聞いてみたいと思います。

似た様な症例の（と言っても一人一人違うから、そこも難しいんだけどね）
先輩方の話を聞いて、最終的にどうしていくのか。
今現在だけの話しではなく、将来的な弦人の体を考えて
悩みに悩んで、決断して行こうと思います。



それと、もう一つ。
弦人の目の事。
前々から強い遠視だとは言われていたけど、学校で検査した時も同じ遠視と出て
眼鏡を勧められました。

ただ、弦人さん。
眼鏡が相当嫌らしく
もう、ブンブン頭を振って、泣きながら嫌がる。
検査も出来たもんじゃない。

目の事を考えたら、眼鏡を付けてくれると視力が上がり
認知面が伸びるかもしれない。
しかし、これだけ眼鏡を嫌がっていて、
現在の日常生活で目が見えていない様な素振りもないので
（実際テレビを見てケタケタ笑い、人の顔を見て喜怒哀楽しているし）
作ってもかけて貰えない、もしくは眼鏡が気になってやる事に集中出来ないかもしれない。

これも
「最終的には、ご両親の判断です」って。
（ほーら、出た！！）


おぉーい、弦人ー。
君はどうしたいんだーい。

親の決断、なかなか悩みますねぇ。



前回の眼科健診で。
嫌で怖くて泣きすぎて。
終わってもしばらく廊下で泣いていました～
嫌なものは嫌だ！
僕は眼鏡も眼科の検査も嫌なんだよ～。