2007/05/04(金)11:27
氷
厚い壁が崩れ去るように、大きな氷が溶けるように・・・
凍り付いた心がほんわかと暖かくなっていくのがわかった。
毎日のように涙にくれ、時には水さえも喉を通らなかったこともあった。
自分が今ここにいることすら、わからなくなっていたこともあった。
身体のいたるところの痛みより、心の痛みが大きくていつまでも床に付していたこともあった。
血が通っている、息をしている、目を見開き世界に色がついて見える、花の香りが、甘いお菓子の匂いが、小鳥のさえずりが、スポーツカーの爆音が、身体の五感が、いや第六感までも、すべての意識が目を覚ました気分。
暗く、冷たい、まるで棺のような中で独り寂しく眠っていた。
まるでそんな自分だった。
誰の言うことも信じられず、何を見ても心がわかず、全てがモノトーンに見えていた。
何かのせいに出来れば、誰かをなじる事が出来れば、気楽だったかもしれない。
取り戻した記憶と、穏やかな感情が、確かに自分の両足で立っていると実感させてくれた。
その唇の感触に、肌のぬくもりに、懐の大きさに、抱きしめられたときの匂いに、全てが私の記憶のままだった。
Man Toro Heiry Duest-dalam.