のぽねこミステリ館

2005/10/15(土)17:58

吉本ばなな『とかげ』

本の感想(や・ら・わ行の作家)(148)

病院にデイケアで行った。入院していた棟などでのんびり過ごす。 退院すると、さらに顔もとがしっかりしたね、と言われた。 自分ではあまり気づかなかったけれど。 病院のパソコンで「斬るビル」362万点いっていたのだけれど、職員さんに新たな記録を出されていた。395万点だったかな。さらに上を目指してがんばろう。 吉本ばなな『とかげ』 ~新潮文庫~ 「新婚さん」ある晩、私は会社の帰りに、降りるべき駅で降りず、しばらく電車に乗っていた。ある駅で乗り込んできたホームレス風の老人が、私の隣に腰掛けた。しつこく話しかけてくる彼を無視していると、隣の雰囲気が変わった。見ると、そこには美しい女性がいた。 「とかげ」スポーツクラブで知り合ったとかげは、私くらいとしか話をしない。私がプロポーズすると、彼女は、「秘密があるの」と言った。 「らせん」彼女は、言葉につまるとき、目を閉じる。そのとき、まつげがくっきりと目立つ。その瞬間に、私は深いものを感じていた。 「キムチの夢」二人のなりそめは、不倫だった。不安を感じながらの新婚生活だったが、ある瞬間、私の中で変化が起こった。 「血と水」ある宗教を信じる人々で構成された村。両親もその信者で、そこに住んでいた。私はそこを飛び出して東京に向かった。「おまもり」を作る昭と生活を共にするようになった。 「大川端奇譚」放蕩な性生活を一時期送っていた私だが、体を壊してからは、OLとなり、普通に生活していた。素敵な男性と出会い、二人は婚約をした。  素敵な人々が描かれている-そう思った。それは、「新婚さん」に登場する女性であり、「とかげ」の二人であり、「血と水」の昭であり、「大川端奇譚」の婚約者である。  いくつかの作品にコメントを(上記の内容紹介よりさらに内容につっこんでいる場合があるので、先入観なく物語を読みたい方は以下を読まないでください。もっとも、本当に先入観なしに本を読みたい人は書評なんて読まないか)。  「新婚さん」。家に帰りたくないとき、会社に行きたくないとき、学校に行きたくないとき、誰しもそういう瞬間を感じたことがあるのではないだろうか。そこに現れたホームレス。彼は、「私」にあわせて、その姿を「私」が知っている女性に変えた。彼女は、とりわけ「私」の心をうつ言葉をかけたわけではない(あえてこう言おう)。しかし、「私」は考える。そして最後には、彼女を「偉大な人」と思うようになるのだ。  「とかげ」。辛い過去を負った二人。世の中は不条理で、どうにもならないことばかりで、最初は被害者だったのにいつのまにか加害者になってしまったりする。不条理。心療内科・精神科に通うようになってから(というか、そのきっかけとなる出来事があってから)私はこの言葉あるいは概念に深く感じるものがある。使い古された言葉かもしれないが、実体験をふまえた上で、あえて言おう。この世は不条理だ。そしてその不条理が描かれているこの作品には、深く共感した。ただ、「救い」はあるのだ。もしこの作品に「救い」がなければ、もっと違う評価をしていただろう。  「大川端奇譚」。私は、この作品の一人称の女性の婚約者を、すごい人だと思う。もし私が彼だったら、同じような対応ができるだろうか…。もちろん、ある出来事に対する反応は人により千差万別なのだけれど。たとえば-ちょっと脱線気味-、「とかげ」に例示されている、「守ると約束した植木鉢を枯らせたからと首をつった子」。そんなことで首を吊らなくても、という人も多くいらっしゃるだろう。しかし私は、いろんな意味で、そして善悪の価値判断はなしにして、この反応がありうるものだ、と思う。もちろん、実際に誰かが(とりわけ、自分が知った人が)そういう行為をしたら、とても苦しいし、とても悲しいし、とても悔しい気持ちになるだろう(ああ、自傷行為をしていた自分を思いだしてしまった。周囲の方々には本当に多大な心配をかけたのだな、と、いまさらながら、やや客観的に認識できた)。さて、戻ろう。そして、彼のその行動により、とても希望のある物語となっている。  総じて、この短編集の作品は読後感が良い。もちろん、上でつらつらと考え事をしてしまったように、不条理なことや重たいことなども描かれているのだけれど。 ここ一週間で吉本さん三冊読んだ。 ちなみに、今月は専門書、漫画も含めて30冊読んだ。このペースは入学まではなんとかもつかどうか、といったところか。「一月で平均して一日一冊本読めますか」という企画が浮かんだが、実行すると決意するのはやめておこう。最近は洋書の訳出やレジュメ作り、『世界の歴史』のノートに専門書読み進めと、これでも熱い生活なので。ああ、漫画も含めてなら可能かな、と思ったけれど、新しい漫画を買うのは控えようと思うのでやっぱやめとこう。

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