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のぽねこミステリ館

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2005.06.15
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てるてるあした
加納朋子『てるてるあした』
~幻冬舎~

「春の嵐」お金にだらしない両親のせいで、照代たち家族は家に住めなくなった。両親により、照代は面識のない親戚に預けることになり、佐々良という町を訪れた。目的の家の表札には、親戚の名字が書かれていなかった。途方に暮れていた照代は、その家から出てきた女性に声をかける。
 感想。物語のはじまり。『ささらさや』の姉妹編ということだが、ここで主人公の照代は、さやと、その息子のゆうすけに出会う。
「壊れた時計」目覚まし時計を壊してしまった日。照代は、さやの買い物に付き添った。ここで、エリカとダイヤにも出会う。電車の中で、佐々良高校の制服を着た女子とぶつかった。彼女はノートを落としていた。照代は、彼女へノートを届けに行く。
 感想。予言のできる女の子の話(あえてこう言いたい)。その子との出会いも大きいけれど、電気屋の男の子との出会いも、大きな意味をもちそうな予感。
「幽霊とガラスのリンゴ」バイトを探して店をまわるが、断られ、悔しい思いで帰宅した照代。彼女は二階に上がると、幽霊を見てしまった。このことをさやたちに話したが、彼女たちは、照代からすれば不思議な感覚で、そのことを受け入れていた。また、さやの家で久代から厳しいことを言われた照代が逃げるように帰宅すると、さやがきた。照代が大切にしているガラスのリンゴ。それを、運悪く、さやが壊してしまう。
 感想。現段階で、本書の中では一番泣いた短編。照代さんに感情移入したり、さやさんに感情移入したり…。誰かを嫌いという気持ちは、自分に返ってくる。そして、誰かを嫌いだと考える、そんな自分が大嫌い。他にも、いろいろと考えさせられるところがあった。
「ゾンビ自転車に乗って」久代の紹介で、市場での手伝いのバイトをするようになった照代。お夏さんからおんぼろ自転車を借りて、それで通勤していた。午後から暇になった照代が自転車を走らせていると、電気屋の少年が働いているところに出くわす。
 感想。本当にあたたかい気分になる(研究室で読んだのだけれど、一人きりでよかった。誰かいたら涙を見られてしまう)。松くんとの関係もそうだし、久代さんとの関係も。母親に対する思い、母親の彼女への気持ち…このあたりが、興味深い。
「ぺったんゴリラ」久代が入院した。一人でいるとき、珠子が家にやってきた。珠子が二階のアルバムをみるため上がると、照代が借りている部屋がちらかされているのが分かった。押し出しから、アルバムが出されていたのだ。
 感想。珠子さんの過去。「女の子」の過去。一つのキーワードは、「がんばる」ということだと思う(佐藤友哉さんの『鏡姉妹の飛ぶ教室』を連想させるキーワードだ)。がんばったら報われる…と思いたいけれど、現実は非情であることもしばしばで。
「花が咲いたら」ダイヤとその友達あやかの世話をすることになった照代。あゆかは、照代の部屋を散らかし、大切なものを壊してしまう。
 感想。辻村深月さんの『子どもたちは夜と遊ぶ』、佐藤友哉さんの『子供たち怒る怒る怒る』を読んだ頃から、「子ども」についていろいろと考えていたが(もっと前からも考えてはいるが)、ここでもまた考えさせられた。また同時に、親、あるいは親であることについて。子どもが傷つくことを言い、前はAという風に注意したのに今度はBと注意し、子どもを困らせ、子どもに反論されると「屁理屈言うな」と言い、あげくの果てには力にうったえ…。そして自分が子どもを傷つけたことを忘れる。もちろん、あらゆる親、大人がこうであるとは思わないが、子どもの頃に大人から受けた不条理な言動はいまだに忘れられない。
「実りと終わりの季節」内容紹介略
 感想。バイト先で、休憩時間に読んだのだが、失敗だった。私のような涙もろい人間は、こういう物語は家で一人で読むべきである。涙をこらえるのに必死だった。もちろん、あふれる涙はとめられないから、なんとかごまかそうと苦心…。一人で素直に泣きながら読みたかった。

 全体を通して。本書は、『ささらさや』の姉妹編です。雨宮照代さんの一人称で話は進みます。どうにも不条理な目にあった照代さん。しかし彼女は、佐々良に来て、少しずつ変わっていきます。本当に素敵で、悲しくて、あたたまり、救われる物語。おすすめです(先に『ささらさや』を読んでから、本書を読む方がよいと思います)。
 341頁の前半に、とても感動しました。他にも感動したところは多く、たくさん付箋を貼りました。






Last updated  2005.06.15 22:39:10
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