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2005.08.14
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Fine days
本多孝好『FINE DAYS』
~祥伝社~

「FINE DAYS」転校してきた二年生の女子。三年生の僕が反省文を書いていると、彼女も同じ教室にやってきて、「反省文」を書きはじめた。中学校からの知り合いである安井は、女子のリーダー的存在だった。安井は、彼女についての噂をいくつか知っていた。転校してくる前の学校で、彼女が四人を殺したという噂。そして-。彼女が反省文を書くきっかけを作った教員が、まもなく学校の屋上から飛び降りて死んだ。
 コメント。久しく長い感想ばかりなので、ちょっと短めに。「生きていることの意味って考えたことある?」高校生の頃、私もずっと考えていたこと。いまも考えています。答えは見つからなくても、ずっと考え続けることが、生きることの一つの意味なのだろう-。いつからかそう思えるようになって、今も、そう思いながら生きています。「FINE DAYS」なんだか不思議な話でした。

「イエスタデイズ」家出して一年。住所も教えていなかったのに、父親から電報が届いた。父親は癌に冒されていて。頑固な親父は、僕にお願いをする。35年前に別れた、当時付き合っていた女性を探して欲しい、と。
 コメント。幻想的な物語なのに、すっと話の中に入ることができました。「そういうものなのだ」と、不思議に納得ができて。35年。これだけの時が流れれば、やはり人は変わり、過去にあることについてどれだけ強く思っていたとしても、35年の月日はその思いを変化させます。まだそれだけ生きていない私が言ってもなんの説得力もありませんけどね。20数年生きてきただけでそう感じるのですから、これからさらに時が流れ、過去を振り返ると、いろんなことが違った色で見えてくる。きっとそうなのだろうな、と思います。その時々でいろんな選択を迫られ、なにかを切り捨て、なにかを選んでいくでしょう。その時々はきっと必死です。だから将来、せめて後悔だけはせずに、そのときの自分を肯定してあげられるように、大切な選択は全力でしていきたい。そう思います。

「眠りのための暖かな場所」ゼミ員の中に友人をもたない結城ツトム。彼に友人をつくるため、教授は飲み会を企画し、院生の私も無理に参加させられた。やがて、私と結城は、少しずつ話すようになる。その頃、結城に思いを寄せていた、彼の同級生の女性が事故で入院した。お見舞いにいった私は、事故の目撃者だという男と出会う。彼は、結城のことを調べているようだった。
 コメント。「私」が経験した過去。結城さんが抱えている事実。いずれも、重い。とても重い。私が「私」の立場だったら、どうしていただろう?それはわからない。けれども、「私」の抱える思いには、共感できる。少なくとも、私なりに。落ち度はなくても、傷ついてしまうことがある。傷つけられることがある。どうしようもないその事実を、どこか諦めて受け入れる。これが、「大人」になったということだろうか。一年前の私なら、自分が壊れるか、なにかを壊しただろう。そうしなくなった。それが良いことなのか悪いことなのか、私にはわからない。きっとずっと考えていくのだと思う。

「シェード」恋人へのクリスマスプレゼントを買うために、僕はアンティークショップへ立ち寄った。ショー・ウィンドウに飾られていたランプシェード。僕は、その店にくるたびにそのランプシェードを見ていた。ところが、そこにランプシェードはなかった。僕は、店に入った。店主の老婆に聞くと、売れてしまったという。それから、老婆は、そのランプシェードにまつわる、ひとつの物語を話してくれた。一人のガラス細工師と、巡業一座の女性の物語。
 コメント。久々に、大泣きしてしまいました。僕は、老婆の語るガラス細工師と、自分自身を重ね合わせていきます。そして、老婆がくれたアドバイス。もう、このあたりから泣きそうだったのですが、ラストが。ラストがあまりにも素敵で。

   *

 全体を通して。一人称の人物は、高校生、大学生、大学院生、社会人となっています。ここからも感じられる、「時間」の流れ。それが持つ意味。そして、「絵」。本書の主題として私が感じたのは、この二つです。
 どこか幻想的な雰囲気を持ちながら、すっと心の中に入ってくる物語たち。そしてどの作品にも、いろいろと考えさせられました。
 「シェード」は本当に素敵な作品でした。とても切ないですが…。
 なお、「眠りのための暖かい場所」へのコメントは、ですます体ではありませんが、読了後思うままに感想を書くと、あの文体が一番しっくりきたのです。統一するためにですますになおそうとも思いましたが、あえてそのままにしました。





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Last updated  2005.08.14 11:34:52
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