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2006.03.04
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山本文緒『みんないってしまう』
~角川文庫~

 12編の短編が収められています。簡単な内容と、コメントがあればコメントも付していきます。
「裸にネルのシャツ」同棲していた恋人が、五年前に出て行った。それから五年。仕事も順調になってきた私に、彼から電話がかかってくる。
 この物語で言われていることは、恋人でも友人でも、通じることだろうと思います。自分がしんどいときだけ相手に頼り、自分に都合が悪くなれば離れていく。そして、ラストの2ページ。印象的でした。
「表面張力」アパートの建て替えの噂が広まり、貧しい「私」たちも今後を考えていく。

「いつも心に裁ちバサミ」コンサート企画のリーダーだった柚木の机から、コンサートチケットがなくなっていた。同期生の「僕」は相談を受け、容疑者を決めてかかる柚木をなだめようとする。
 この短編集の中で、印象に残っている作品の一つです。てきぱき仕事をこなす柚木さん、整理整頓が苦手で、彼女に注意される「僕」。それでも、「僕」が、とてもまっすぐな人のようで、ラストは胸をうたれます。相手が曲がっていたら、上司だろうが反論する、こういう姿勢に憧れてしまいます。もちろん、「僕」がラストですることも、暴力ですから、一概に彼を支持するわけにもいかないでしょう。

「不完全自殺マニュアル」両親が亡くなり、これでいつでも自殺できると考える大学助手。ところが彼女は、死ぬ前にあることを望む。
「愛はお財布の中」アパートの契約に行くためにタクシーに乗った「私」だが、財布を忘れてきてしまい。なんとかするために、「私」は、近くに職場がある元カレのもとを訪れる。
「ドーナッツ・リング」太ってしまい、結婚指輪が抜けなくなった「僕」。一家四人が同じ体型で、思うところもある「僕」は、日曜日に、喫茶店で仕事をすすめる。そこのバイトの女性が気になっていたのだった。

「ハムスター」妹が世話をしていたハムスター。妹が修学旅行に行っている間、私たちはその世話を忘れ、ハムスターは共食いをしてしまった。帰宅して怒った妹は、家出をする。
 先にあげた、「いつも心に裁ちバサミ」と同じくらい印象に残っている作品です。お母様の、「誰だって一度や二度は家出するって。レジャーの一つよ」という言葉に笑ったのですが、その後はいろいろ考えるところがありました。100点目指してがんばって生きる、そしてそれを身近な人にも強いる。 45点でもいいや、あなたも45点でいいよ、という生き方。後者の方がのんびりできて、飾らずにいられて、憧れるのですが、現実には前者に近いことをしている自分がいます。少しゆとりを(これは感想なんでしょうか…)。

「みんないってしまう」東京で、ばったり再会した「私」たち。昔付き合っていた男性の話になり、二人は盛り上がっていく。
 あらすじ紹介だとこのようになってしまいますが、こちらも面白い物語でした。

「イバラ咲くおしゃれ道」大学進学が決まり、いとこと住むようになった「私」。いとこは良い人だと思っていたが、彼女には問題点があった。とにかくおしゃれ、既に流行した服は二度と着ないという徹底ぶりだった。
「まくらともだち」夫とのセックスで感じられず、肉体関係だけの男友達を募る「私」。
「片恋症候群」(内容紹介略)んー、タイトルが深いです。
「泣かずに眠れ」友達紹介の雑誌で知り合った女性。雑誌を見る限り、友達になれそうな気がしていたのだが、会ってみると、温度差を感じていく。

   *

 紹介の中でもふれましたが、「いつも心に裁ちバサミ」と「ハムスター」が印象に残っています。前者のタイトル、あらためて考えると切なくなってきます。





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Last updated  2007.11.10 09:29:27
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