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のぽねこミステリ館

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2007.06.05
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京極夏彦『前巷説百物語』
~角川書店、2007年~

 小股潜りの又市さんが、百介さんたちと知り合う以前の物語です。6編の中編(?)が収録されています。では、簡単な内容紹介と感想を。

「寝肥」東北から、何人もの女を連れてきては世話をし、しかしやがて売ってしまうという男がいた。又市とも知り合いの女も、その男についてきたのだが、彼女は、男を殺してしまったという。そして、自殺をはかったところを、又市たちに発見される。
 なんとか女を助けたいと考える又市に、<損料屋>の角助は、その女の損を肩代わりしようと言う。

「周防大蟆」次期藩主の計略により、無理に仇討ちを強要された侍を助けてほしい―。損料屋のゑんま屋は、その依頼を引き受ける。

「二口女」先妻の子を自分が殺してしまった―依頼人の女はそう言う。そのことを家族に伝えることは、家族の損になる。現段階で、損は誰もしていない。女が実際に子供を殺してしまったのなら、悔いるしかない。損料屋としては、なんとも動きにくい依頼であった。

「かみなり」又市たちが仕掛けをした侍が切腹した。又市は、自分たちの仕掛けがそういう結末につながるとは考えていなかったが、そのことにひどく落胆する。自分たちは、やりすぎたのではないか。―やがて、ゑんま屋の裏の仕事に関わる者たちを皆殺しにしようとする集団があらわれる。

「山地乳」黒絵馬に名前が書かれたら、その人は死ぬ。その事実が実際にあるからこそ、噂はさらに広まった。裏には、非人たちを操っているという男がいるのではないか、と思われた。町奉行所町廻り同心の志方は、絵馬の噂、さらには絵馬による殺人を収束させるべく、絵馬に自らの名前を書いた。

「旧鼠」多くの事件の裏で手を引いていると思われる人物が、ついに、それらの事件をてがけ続けるゑんま屋を崩壊させようと動き出す。

   *   *   *

 ちょっと話がそれますが、私は『姑獲鳥の夏』依頼、京極さんの作品のファンとなり、京極堂シリーズはノベルス版も文庫版も、さらには愛蔵版も集めているくらいですが、最近、ちょっと熱が冷めたかな、と感じていました。『邪魅の雫』を読んでも、それまでのわくわく感があまりなかったように思ったのです(それは、『邪魅の雫』の作品の性格のせいかもしれませんが…)。
 さらに、巷説百物語シリーズは、京極堂シリーズほど好きというわけではありませんでした。
 が! 本書、『前巷説百物語』はとても面白かったです。あぁ良かった、これからも京極さんの作品を読みたい、と思わせてくれた一冊。
 『巷説百物語』も、『続巷説百物語』も、あまり覚えていないのですが、本書はそれ以前の話ですので、いってみれば先行作品をまったく読んでいなくても楽しめると思います。もっとも、又市さんが『巷説百物語』以降、あのスタイルで活躍するきっかけは、本書で明らかになるわけですが…。
 勧善懲悪の性格が強いので、読んでいてすっきりします。それに、又市さんはどんな理由があっても人を殺してはいけないと考えるので、仕掛けも巧妙になります(ほとんど子供だましみたいな仕掛けがほとんどですが、そこはご愛敬)。その仕掛けに、妖怪がからんでくるわけですね。
 登場人物がみなさん生き生きしていて、だから、最終話ではどれだけ涙したことか…。
 とにもかくにも、良い読書体験でした。
 『巷説百物語』から『後巷説百物語』までの三冊も、日記記事の形では感想を書いていないですし、ほとんど覚えていないこともあり(特に最初の二冊)、また再読したくなりました。もっとも、京極堂シリーズもあまり日記記事の形では感想を書いていないので、いずれ再読したいのですが、いかんせん分厚いので、しばらく時間がかかりそうです。






Last updated  2007.06.05 06:55:00
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