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2007.10.24
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黒田研二『結婚なんてしたくない』
~幻冬舎、2005年~

 黒田研二さんの長編です。ミステリ…ではないですね。帯には「エンターテインメント小説」とあります。あえていえば、軽めのサスペンス(?)といったところでしょうか。

 女好きの佐古翔、アニメのアイドルしか愛せない藤江克美、同性愛者の蒲生要、パラサイトシングルの真鍋聡士、どうしても結婚にふみこめない相馬浩文の5人の男性が主要人物で、五人の視点で物語が進みます。
 佐古さんは、ナンパした女性をマンションの部屋に連れ帰ると、そこに見知らぬ女の子(5歳)がいて、しかも彼のことをパパと呼び始める…そこから、いままでのような生活ができなくなります。
 藤江さんは、どうしても欲しかったフィギュアをオークションで手に入れようとしたものの、120万円もの値段で<にゃあ>という人物に落札され、手に入れることができません。ところが、その<にゃあ>に連絡をとり、会ってみるというところまで話が進みます。
 蒲生さんは、職場の人から「結婚しないの?」と聞かれ、うやむやにしか答えられず、自分の性癖がばれてしまったのでは、と焦りを覚えます。なじみの居酒屋に行くと、女性の同性愛者が同様の悩みを抱えていて…。彼女、小山内深雪さんは、蒲生さんに偽装結婚を持ちかけます。
 真鍋さんは、口うるさい両親と同居していましたが、父親が脳に腫瘍ができて倒れてしまい、東京の病院に入院することになります。母親も父親に付きそうため、生まれてはじめての一人暮らし。口うるさい親がいなくなり、自由になれたと思ったものの…。
 相馬さんは、恋人の未来さんから結婚の話を持ち出され、戸惑います。大切に感じているのは間違いないけれど、結婚となると話は別…。そう考えていた相馬さんですが、コンタクトを探すのを手伝ったことから知り合うことになった結城佳奈さんに、次第にひかれていきます。

 …と。なんだか極端な5人の男性の生活が、次第に変わっていきます。
 佐古さんはとんでもない人間ですが、香澄ちゃんと出会ってから、少しずつ性格というか、態度が変わっていくのが良いですね。
 藤江さんは…こちらもとんでもないことをやりかしますが、まさにゴーイングマイウェイですね。
 蒲生さんと深雪さんの関係が、とてもほのぼのしていて良かったです。
 真鍋さんは、急な転落を経験することになります。気の毒な役回りでしたが、かっこよい場面もしばしば。
 相馬さんは…なんともいえないですね。自業自得のような気もしますから。
 楽しく読みました。380頁ほどありますが、3時間ほどで一気に読んでしまいました。

 面白い指摘というか、そういえばと思ったのですが、普通は、なにか行動を起こしたときに、その理由を聞かれるものなのに、結婚については、それをしないことの理由を聞かれるということ。なるほど、「どうしてピアノはじめたの?」は聞きますが、「どうしてピアノしないの?」はなかなか聞かないですね。一方、「なんで(○○歳にもなって)結婚しないの?」というのは聞きますが、「なんで結婚するの?」はあんまり聞かないですね。よっぽど事情がありそうな場合は、「なんで結婚するの?」もありえそうですが…。とまれ、ある程度の年齢になったらたいていの人が結婚するものだという、ある種の常識というか偏見が存在するということでしょうね。たとえば、子供の頃はたいていの人がピアノをするものだという風潮があれば、「なんでピアノしないの」「(親に対して)なんでピアノさせてあげないの」なんてよく聞くことになるのでは、と思いました。
 割合好きで読んでいる漫画で、たかの宗美さんの『主任がゆく!』という作品があります。上司に、しばしば「なんで結婚しないのか」と聞かれる北見主任や、良きライバル(?)の東主任も、「どうして上司はああ結婚結婚いうのか」とうんざり気味なのですが、自分が(おそらく「普通、当たり前」と思って)たどってきた道を、若い者がたどらないのがどこか不安だったりするのだろうと分析をする、という回があります。なんだかふと連想しました。

 もう一つ、記憶を誰かと共有することについてふれた一節に、付箋をはりました。坂木司さんの作品にある、とても好きな一節を連想します。





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Last updated  2007.10.24 06:21:42
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