カテゴリ:本の感想(た行の作家)
高田崇史『クリスマス緊急指令~きよしこの夜、事件は起こる!~』 ~講談社ノベルス、2007年~ 本書は11月に出ていますが、せっかくなのでクリスマスにあわせて読みました。いろんな味わいの作品が楽しめる短編集です。 順番に、感想を書いていきたいと思います(作品によっては簡単に内容紹介もしながら)。 ーーー 「鏡影【緊急推理解決院EDS歴史推理科】」 ホームズを敬愛する「先生」と、「和藤さん」こと僕が所属する歴史推理科に、大伴黒主の和歌を握りしめて死んでいたという男の事件が持ち込まれます。六歌仙についての諸説と、黒主に関する謎の解明も描かれるあたり、コメディタッチのQEDシリーズといったところでしょうか。肩の力を抜いて軽く楽しめる感じです。 「クリスマスプレゼントを貴方に~K's BAR STORY~」 帯にある、「ハートフルミステリ」の名前がぴったりの作品。自分にからんできた男が殺害した夜、自分が酔っぱらっている姿が目撃されていたのはなぜか―。パーフェクト・オールマイティ・コンサルタントの神籬龍之輔が、彼女に素敵なプレゼントを贈ります。大好きな味わいの作品。 「想い出は心の中で~K's BAR STORY~」 こちらも良かったです。先の話に比べて、若干重かったですが…。「K's BAR STORY」だけの短編集ができれば素敵だなぁと思います。 「迷人対怪探偵」 ホームズや明智小五郎のパロディのようです。これはちょっと残念ながら、あんまりぱっとしませんでした。 「オルゴールの恋唄」 オーナーがオルゴールを蒐集している旅館で行われた、オルゴールの演奏会。調律のおかしなオルゴールが奏でられたとき、客たちの反応が千差万別で。その客たちの裏にあるドラマを描く物語です。こういうのも好きです。 「茜色の風が吹く街で」 中学校で起こった、試験問題盗難事件がミステリとしての謎ですが、それよりも、主人公のぼくをめぐる物語が良いです。 最後の二編は、音楽という共通のテーマがありますね。 ーーー 全体的に温かい作品が多くて、なかなか良かったです。 上にも書きましたが、「K's BAR STORY」はシリーズ化してほしい作品です。この2つの短編は特に面白かったです。 (2007年12月25日読了)
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Last updated
2007.12.28 06:26:35
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