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のぽねこミステリ館

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2009.06.12
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法月綸太郎『パズル崩壊 WHODUNIT SURVIVAL 1992-95』
~講談社ノベルス、1998年~

 ノンシリーズの短編7編に、法月綸太郎シリーズのボーナストラック1編を収録した短編集です。
 まずは、それぞれについての内容紹介をした上で、全体を通しての感想を。

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「重ねて二つ」ホテルの1室で、猟奇的な事件が発見された。ベッドの上に横たわる全裸の死体。女性の上半身と男性の下半身がまるで両性具有のようにあわされていたのだった。第一発見者は、その部屋に入るなり何者かに殴られたという。しかし、その部屋からその他の人物が出入りした様子はなく、女性の下半身と男性の上半身の行方も不明だった。

「懐中電灯」1000万円強奪の協力を依頼された片桐は、依頼者の矢島とともにその計画を無事に成し遂げた後、今度は矢島の口をふさぐため、彼を殺害する。手抜かりはなかったはずなのに、ある事件をきっかけで片桐は刑事に目をつけられる。片桐は、どこでミスを犯していたのか。

「黒のマリア」密室状態の部屋の中で発見された男の遺体。同じ部屋の中には、外側から施錠されたクローゼットの中に自由を奪われた女性が、同じく外側から施錠された金庫の中には、盗人の遺体が入っていた。事件後、誰も出入りしていないはずのその部屋の中で、どのように犯行は行われたのか。

「トランスミッション」ある朝かかってきた間違い電話―それは、誘拐を知らせるものだった。完全に人違いのまま用件を喋り終えた犯人にかわり、僕は本当に子供を誘拐された人物のもとへ連絡をとる。それが、奇妙な事件の始まりだった。

「シャドウ・プレイ」日本史教師の僕は、いつものように深夜に、友人の推理作家から電話をうけた。友人は、新作の案として、ドッペルゲンガーをネタにしているという。芥川龍之介のドッペルゲンガーの逸話の話から始まり、僕はその新作の案をじっくりと聞く。

「ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?」(こちらは内容紹介を割愛します)

「カット・アウト」前衛芸術の騎手、「カミカゼ・コンビ」として注目されていた篠田和久と桐生正嗣の二人は、ある事件をきっかけに断絶する。それは、桐生が、病死した妻、聡子の遺体にペイントを施した、というものだった。三人はアメリカで知り合った。篠田と桐生がお互いに厳しく批評しあいながら互いの実力を認め合い、高め合っていたところに、ボディ・ペイントをして踊り狂う聡子の存在が、さらに二人の能力を伸ばしていった。やがて桐生と聡子が結婚したが、聡子の死とともに、桐生と篠田は断絶したことになる。
 ある日、篠田は桐生の甥から連絡を受ける。そこで篠田は、事件の真相を知ることになる。

「……GALLONS OF RUBBING ALCOHOL FLOW THROUGH OUT STRIP」ある居酒屋で、編集者から手厳しい批判を受けた法月綸太郎は、そこで一人の男と知り合いになる。
ーーー

 なんとも歪な感じの解決の作品もあります。独特の雰囲気の短編集ですね。
 笑いもまじえて楽しく読めたのは「シャドウ・プレイ」です。僕と作家の電話でのやりとりがメインですが、僕のツッコミが楽しいです。
 内容紹介を割愛した「ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?」の結末は、忘れたくても忘れられませんね…。
 本書の中でいちばん興味深く面白かったのは、「カット・アウト」です。犯人当てや謎解きに重点をおくのではなく、三人の男女の物語として興味深く読みました。この作品には、岡山県倉敷市の大原美術館が登場します。またあらためて行ってみたくなりました。
 ボーナストラックは、未完の長編の一部だそうですが、その長編を読める日がはたしてくるのでしょうか。あとがきには、作中法月さんと同じく、作者の法月さんの悩みや苦しみがにじみ出ていますね…。

(2009/06/08読了)






Last updated  2009.06.12 07:20:04
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