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2009.09.15
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深水黎一郎『花窗玻璃 シャガールの黙示』
~講談社ノベルス、2009年~

 神泉寺瞬一郎&海野刑事シリーズの最新作です。今回は、瞬一郎さんがフランスはランス滞在中に起こった、ランス大聖堂での事件について瞬一郎さんが記した作品がメインとなります。
 それでは、簡単な内容紹介と感想を。

ーーー
 18歳の瞬一郎は、高校卒業後日本を離れ、フランスはランスにやって来た。
 学生寮の寮母や仲間たちと過ごす日々のなか、夕方には、ランス大聖堂を訪れ、スケッチをするのが日課となっていた。大聖堂には、毎日やって来る老人がいた。老人が、スケッチをしている瞬一郎に声をかけてから、二人は話をする仲になる。最初に絵のことで、話した後、老人はあることを瞬一郎に伝える。シャガールのステンドグラスをはめたシャペルには、決して近づかないようにというのだった。
 この半年ほどのあいだに、シャガールのステンドグラスを見つめていた二人の男が、不審な死を遂げていた。一人は、塔からの墜落死。しかし、その男が落下した直後に塔に上って現場を確認した刑事は、そこには誰も第三者(犯人)はいないことを確認していた。そして二人目は浮浪者で、ステンドグラスを見つめているうちに心不全で亡くなってしまったという。瞬一郎は二つの事件に、世話になっている寮母のカトリーヌが関わっていることを知る。
 一方瞬一郎は、老人のある態度にも反対の立場を示していた。老人は、断固としてランス大聖堂のシャガールのステンドグラスの価値を認めないという。そのことで、飲食店では小競り合いも起こってしまうが…。
 若き日に瞬一郎がランスで体験した、悲しい物語。
ーーー

 冒頭にも書きましたとおり、瞬一郎さんによる作品(手記のような…)、つまり作中作が本書のメインとなっています。海野刑事が、それを読むというかたちですね。面白いのは、その作中作が、ルビは別としてカタカナを使わずに書かれていることです。ミステリ好きとしては、小栗虫太郎『黒死館殺人事件』を連想しますが、本書は人名さえも漢字にされています。日本の漢字文化について瞬一郎さんが熱く語るシーンは、共感できる部分もありました。なんでもかんでもカタカナ語にしてしまうのもどうかと思いますが、逆に外国人の人名まで漢字というのは、同意しかねる部分もあるので…(試みとしては面白いと思いますが)。

 さて、瞬一郎さん&海野刑事シリーズはとても楽しく読んでいます。本書も、トリックはもちろんのこと、登場人物たちの物語を、とても興味深く読むことができました。大聖堂が舞台というのも、西洋中世史を学んでいることもあって、興味深かったです。

 良い読書体験でした。

(2009/09/13読了)





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Last updated  2009.09.15 06:45:17
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