カテゴリ:本の感想(や・ら・わ行の作家)
横溝正史『真珠塔・獣人魔島』 ~角川文庫、1981年~ 横溝さんのジュヴナイル作品です。表題作の、2つの中編が収録されています。いずれも、新日報社の三津木記者と御子柴少年が活躍するシリーズです。 「真珠塔」は、真珠王の柚木邸で行われたパーティーで披露される、真珠の塔をめぐる物語。冒頭では、金色のコウモリがひらひらと舞う時に出現する怪人の話が紹介され、そして新日報社の探偵小僧と呼ばれることになる御子柴進少年が、怪人による殺人を目撃するシーンが置かれます。暗号も登場し、冒頭から面白そうなシーンが満載です。 「獣人魔島」は、梶原一彦という凶悪犯が脱獄し、彼に死刑を言い渡した三芳判事に復讐を誓うという、横溝さんのジュヴナイルとしては意外なシーンから始まります。 三芳家で用心棒として待機していた御子柴少年の機転で、なんとか危険は乗り切れたと思うのですが、凶悪犯は失踪、そして裏には有名な研究者の鬼頭博士がからんでいるようで…。 瀬戸内海に浮かぶ骸骨島で、ゴリラの体に人間の脳を植え付けるという実験、そして生まれるという人間の脳をもつゴリラという設定は、『怪獣男爵』を連想しますが、本作は『怪獣男爵』とずいぶん違った色合いになっています。意外な結末も、満足でした。 というんで、中編いずれも面白い一冊でした。 ※表紙画像は、横溝正史エンサイクロペディア様からいただきました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.11.05 19:10:16
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