のぽねこミステリ館

2012/07/01(日)10:31

綾辻行人『十角館の殺人』

本の感想(あ行の作家)(207)

綾辻行人『十角館の殺人』 ~講談社文庫、1991年~  いわゆる「新本格第一世代」綾辻行人さんのデビュー作です。  10年ぶりくらいの再読でしょうか。楽しめました。  それでは、簡単に内容紹介と感想を。 ーーー  1986年3月。  K**大学推理小説研究会のメンバー7人が、大分県沖にある角島を訪れた。  その小島にある、通称十角館で合宿をするという彼らだが、角島ではその半年前に、ある事件が起きていた。  十角館の本館にあたる、通称青屋敷が燃え、建築家・中村青司夫婦と、使用人夫婦が遺体で発見されたという事件である。青司の妻は、その左手が切断されており、使用人夫婦も惨殺、青司自身も焼死であったという。  いわくつきの島で過ごし始めた彼らも、連続殺人事件に巻き込まれていくことになる。  二日目の朝、ホールのテーブルには、「第一の被害者」「殺人犯人」などと書かれたプレートが置かれていた。メンバーが疑心暗鬼になっていく中、まずはオルツィが殺された。それを皮切りに、次々とメンバーが殺されていく。  探偵役をかってでるエラリイ(自身も犯人の可能性があるが)たちは、犯人を突き止めようと推理をすすめるが…。    *  一方、本土でも、ある事件が起こっていた。推理小説研究会のメンバーの元に、「お前たちが殺した千織は、私の娘だった」と書かれた手紙が届いていた。  少し前に研究会を辞めていた江南は、この手紙のことから、中村青司の弟、そしてその友人である島田潔と出会うことになる。  そして島田潔と親交を深めつつ、彼は中村青司事件の真相に近づいていく。 ーーー  これは面白かったです。  メンバーを有名なミステリ作家の名で呼び合うなど、独特な設定で印象的でしたが、あらためて読み返してみて、とても楽しく読むことができました。  そして、物語もさることながら、いわゆる新本格ムーヴメントが起きてきた頃の背景について書かれている、鮎川哲也さんによる解説も興味深かったです。 ※今年は、まだ記事をアップしていない作品を再読していこうと思っています。今回は、その第一弾。まずは綾辻さんの館シリーズを読んでいくつもりです。

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