カテゴリ:本の感想(た行の作家)
高木彬光『人形はなぜ殺される』
~角川文庫、1974年~ 神津恭介シリーズの長編です。 久々に、とてもわくわくしながら楽しく読めるミステリーに出会えた感じです。 それでは、簡単な内容紹介と感想を。 ーーー 松下研三は、魔術愛好家たちの集まるカフェで、新作魔術発表会に招待された。カフェで、同発表会に出演する男女が首を斬るという話をしていたのになんとも嫌な予感をしていた松原だが…。 発表会の日、その男女の発表はできなくなった。タネに使う人形の首がなくなってしまったというのだ。衆人環視の中、鍵のかかった箱の中から、人形の首が消えていた…。 さらに後日。あやしい芸術家が急いで購入した家で、女性が首を斬られて殺されていた。彼女の首のかわりに、現場には人形の首が残されていた。 その後も、人形が電車に轢かれた後、女性が殺害され、さらに事件は続き…。 人間が殺される前に、人形が殺される。 人形はなぜ殺されるのか。 ーーー あらためて、これは面白かったです。 冒頭から、読者への挑戦が示唆され、第3幕の後には、正式に読者への挑戦が挿入されます。あらためて物語をふりかえると、大胆なくらいに複線が張り巡らされていました。謎解きのおもしろさ、そして人間が殺される前に人形が殺されるというわくわくする問題提起、魔術愛好家たちに黒ミサと、面白い要素が盛りだくさんです。 そして今回、細かい詰めまではできませんでしたが、犯人の予想がついたのも嬉しかったです。 最近、高木彬光さんの作品を読むようになりましたが、本書に出会えて本当に良かったです。 ※新装版はこちら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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