カテゴリ:本の感想(あ行の作家)
有栖川有栖『長い廊下がある家』 ~カッパ・ノベルス、2012年~ 火村英生&作家アリスシリーズの短編集です。4編の短編が収録されています。 それでは、簡単にそれぞれの内容紹介と感想を。 ーーー 「長い廊下がある家」 怪談の名所として有名な家で起こった奇妙な殺人事件。西の家と東の家をつなぐ長い廊下の真ん中、閂がかかった扉の前で、取材に訪れていたチームの一人が死んでいた。その他のメンバーは、死者とは別の側の家で過ごしており、アリバイも保証された状況であった。密室トリックか、アリバイトリックか――。 「雪と金婚式」 雪の降る夜、金婚式を祝う老夫婦の家の離れで、居候していた妻の弟が殺された。容疑者は2人まで絞られたが、しかしお互いにアリバイが成立している。一方、老夫婦の夫は、犯人に心当たりがあるということだったが、警察に相談しようとした直後、事故で記憶を失ってしまっていた…。はたして男はなぜ犯人に気づいたのか。 「天空の眼」 有栖川の隣人の教え子が、心霊写真をとってしまったという。旅先でとった写真を同級生に見せると、これはヤバイと言われたという。一方、その同級生の友人が、空き家の屋上から落ちて死亡した。はたしてこれは事故か、殺人か。 「ロジカル・デスゲーム」 火村の授業を聴講していた男が、火村に挑む。3本のコップから、毒入りジュースを選ぶかどうかのゲーム。火村は、いかにその場を切り抜けたのか。 ーーー まず、表題作は、犯人の目星がついているにもかかわらず、いかなるトリックがつかわれたのかが不明、しかもトリックも、密室トリックなのかアリバイトリックなのかが判然としないという、興味深い謎の提示があり、面白かったです。 本書の中で最も好きなのは、「雪と金婚式」です。電車で読んでいたのですが、涙ぐんでしまいました…。素敵な老夫婦です。 「天空の眼」は、シリーズ異色作だと思います。 「ロジカル・デスゲーム」は、とても読後感の悪い作品です。火村先生に挑む男の最悪ぶりが気持ち悪かったです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.10.12 21:17:15
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