のぽねこミステリ館

2014/12/27(土)14:20

ケン・フォレット『大聖堂』

本の感想(海外の作家)(58)

ケン・フォレット(矢野浩三郎訳)『大聖堂』 (Ken Follett, The Pillars of the Earth, 1989) ~新潮文庫、1991年~  文庫で上中下の3巻、1冊600頁程度という大著です。物語も圧巻です。  物語は、1123年のある公開処刑の場面から始まります。無実を訴える男の死、そして彼の処刑を決めた男たちへの、ある女の呪詛は、冒頭からショッキングです。  そして、以下の物語は、大聖堂を建てることを目標にする建築家トム・ビルダーとその一家、貧しい修道院の改革に全力を尽くすフィリップ、極悪非道の領主ウィリアム・ハムレイたちを視点人物に据えながら、進んでいきます。  貧しいトム一家を待つ運命は。フィリップは、副院長リミジアスや、目的のためには手段を問わないウォールラン・バイゴッドたちの妨害に、いかに対応していくのか。そして、美しい大聖堂はどうなるのか。  とにかく、はらはらしながら読みました。  また、同時代のイングランド王即位をめぐる内乱や、大司教トマス・ベケットの殉教などの歴史的事件も、主人公たちの運命に密接な関わりをもっていて、こちらも楽しめました。  良い読書体験でした。

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