カテゴリ:本の感想(た行の作家)
高田郁『想い雲 みをつくし料理帖』 ~ハルキ文庫、2010年~ シリーズ第3作です。 今回も文字色反転しておきます。 (ここから) 大阪、天満一兆庵の奉公人だった富三との衝撃的な再会から始まります。若旦那とともに江戸に出てきた彼は、若旦那について、何か知っているのでしょうか。 そして、調理の難しい鱧(はも)の料理をめぐり、吉原の郭の店主、伝右衛門との対決も手に汗握ります。「女性だからどうこう」、という意識は(その逆もしかりですが)、こんにちでさえ残っているのですから、江戸時代であれば、なおのこと強かったのでしょうね。 火事で失った元の「つる家」跡地がどうなっているかを見に行った澪さんは、なんと同じ名前の店が構えられているのを目にします。その店主は、仇敵、登龍楼の末松で…。末松は悪魔ですね。偽「つる家」のせいで、澪さんたちの「つる家」もひどい目にあってしまいますが、芳さんをはじめ、真っ直ぐな理念を持っていれば道は開けるという、あたたかい希望も待っています。 そして、ふきちゃんと弟の健坊のエピソード。登龍楼から逃げ出した健坊が、行方不明になってしまい…。 本作も前2冊同様、どのお話にも、辛いエピソードが出てきます。それでも、少しずつでも、道が開いていくような希望と、澪さんのひたむきさ、まわりの人たちのあたたかさで、救われます。 本作では、特にふわり菊花雪がとても美味しそうでした。 (ここまで) 本書の収録作は次のとおりです。 「豊年星―「う」尽くし」 「想い雲―ふっくら鱧の葛叩き」 「花一輪―ふわり菊花雪」 「初雁―こんがり焼き柿」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.02.28 21:14:27
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