カテゴリ:本の感想(な行の作家)
西澤保彦『腕貫探偵』 ~実業之日本社文庫、2011年~ 神出鬼没の「市民サーヴィス課臨時出張所」を担当する、年齢不詳で、腕貫をし、「そのまんますぎる」公務員が活躍(?)するシリーズ第1弾です。本書には7編の短編が収録されています。 それでは、簡単に内容紹介と感想を。 ――― 「腕貫探偵登場」バス停付近で死んでいたはずの男の遺体が、発見者が通報しているあいだに消えていた。そして本人のアパートであらためて見つかった理由とは? 「恋よりほかに死するものなし」運命を感じていた相手と再婚することになった予定の母親が、とつぜんふさぎ込んでしまったのはなぜ? 「化かし合い、愛し合い」別れそうになっていた彼女とよりを戻せそうになり有頂天の男に、腕貫探偵が示唆する真相は? 「喪失の扉」ある年度の学生証を自分の家に持って帰ってきた男。その行為自体の記憶もなかったが、なぜ男はそのようなことをしたのか? 「すべてひとりで死ぬ女」十分なお金を持っていたはずなのに、食べたかったはずのメニューを食べずにそそくさと店を出て行った女の真意とは? 「スクランブル・カンパニィ」「鬼畜兄弟」とあだ名される二人の社員が、二人とも逮捕されてしまった背景とは? 「明日を覗く窓」展覧会の片付けの際、去年の展示品のための箱が空いたまま残っていた。必ず絵と箱を照合して片付けるはずなのに、なぜ空き箱が残っていたのか? ――― 第一話や第四話など、殺人事件を捜査する話もありますが、基本的にはいわゆる「日常の謎」もののミステリとなっています。 第一話から、軽快な文体で読みやすく、解決編も今までにないようなパターンで、物語を楽しみながら読み進めました。 軽めの話ばかりでなく、重たい読後感の短編も収録されていて、バラエティに富んでいます。 特に第一話など、探偵の口数がここまで少ないミステリはなかなかないと思います。 面白かったです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.08.20 21:54:21
コメント(0) | コメントを書く
[本の感想(な行の作家)] カテゴリの最新記事
|
|