カテゴリ:本の感想(た行の作家)
筒井康隆『三丁目が戦争です』 ~講談社青い鳥文庫、2003年~ 筒井康隆さんによるSF童話が4編収録された作品集です。 まずは、簡単にそれぞれの内容紹介をしたうえで、感想を。 ――― 「3丁目が戦争です」小学六年生の男の子もおそれる小学一年生の女の子、山田月子に、自分は負けないぞ―。毅然とした態度をとったシンスケくんですが、月子が友達を連れて乱暴をはたらいたところから、団地組の大人と住宅地組の大人も巻き込み、やがて戦争につながっていく…。 「地球はおおさわぎ」宇宙からやってきた、口をきく鉱物、シリコニイが、地球の石や鉱物を動けるようにしたものだから、さあ大変。西郷さんや大仏たちがあちこちで動きだし…。 「赤ちゃんかいぶつ ベビラ!」さらわれた赤ちゃんが、いろいろあって巨大なかいぶつに大変身。車や電車がおもちゃにされてしまいます。 「うちゅうをどんどんどこまでも」博物館にある宇宙船に無断で乗り込み、宇宙に出発したトモちゃんとキムちゃんですが、地球への帰り方が分からず、どんどん宇宙を突き進みます。やがて「ここから先はだれもはいれません」という立て看板が現れて…。 ――― 表題作では、主人公のある心変わりのシーンが印象的です。それをふまえたラストも、淡々とした口調だからこそ、なんとも重たい気持ちになります。 そしてこのラストと、「うちゅうをどんどんどこまでも」のラストの対比も、どこか思わせぶりな気がします。 第2話と第3話は、はちゃめちゃな展開が楽しい物語です。 童話ながら、筒井さん節があちこちにうかがえて、楽しめる一冊です。 ・た行の作家一覧へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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