カテゴリ:本の感想(海外の作家)
コナン・ドイル(阿部知二訳)『回想のシャーロック・ホームズ』 ~創元推理文庫、1960年~ (Arthur Conan Doyle, The Memories of Sherlock Holmes, 1894) シャーロック・ホームズシリーズの第二短編集です。『シャーロック・ホームズの冒険』は深町眞理子さんの新訳で読みましたが、こちらは阿部知二さんによる翻訳で読みました。 それでは、簡単にそれぞれの内容紹介と感想を。 ――― 「銀星号[シルヴァ・ブレイズ]事件」競馬のさぐり屋が名馬「銀星号」のいる厩舎そばに現れ、ぶしつけな質問をしていった翌朝、銀星号は行方不明になっており、調教師の死体が見つかった。すぐに馬が見つかると思っていたホームズだが、事件は難航し、現場に赴くこととなる。 「黄色い顔」妻の奇妙な振る舞いのことで男が相談にきた。理由を言わずに高額なお金が入り用になったと言ったり、窓から黄色い顔の人物がのぞく近くの別荘に訪れたり…。男の妻の行動の意味とは? 「株式仲買店員」勤め先が倒産した男が、株式取引会社の欠員を知り応募、見事合格した。ところが、その会社よりずっと良い条件で雇用するという人物が現れ…。 「グロリア・スコット号」学生時代のホームズが解決した、探偵になる契機となった事件。何の変哲もなさそうな手紙の文章は、なぜ一人の男を恐怖心で殺してしまったのか。 「マズグレーヴ家の儀式書」ホームズが若い頃の事件。友人の家に伝わる儀式書をめぐり、家の執事が夜な夜な調べごとをするなど、奇妙な行動をとっていた。執事の行動の意味とは。 「ライゲットの謎」過労からの病気で、ホームズが静養に訪れたいなかの邸宅で殺人事件が発生した。周辺では、少し前に強盗事件も起こっていた。被害者が持っていたメモの意味とは。 「まがった男」老軍人が奇妙な状況で死んでいた。言い争いをしていた妻は、まさか夫を殺すとは思えない人物で。事件直前、妻と出かけた女性が見かけた、まがった男との関連は。 「入院患者」神経障害に関する論文で名を上げた若い医師に、ある男が投資をするといって、診療所などを使わせてくれることになった。しかし、ロシア人親子が診療に訪れてから、投資してくれている男の態度に異変が起き始め…。 「ギリシャ語通訳」ホームズの兄マイクロフトの初登場事件。ギリシャ語通訳の男は、ある人物を脅迫する人たちから通訳の依頼を受けた。脅迫者たちのねらいとは。 「海軍条約事件」国家機密レベルの書類を何者かに盗まれた男が、病気療養後に意識を取り戻した後、ホームズに依頼を行う。奇妙な状況で起こった事件の真相は。 「最後の事件」多くの犯罪の裏で手を引くモリアーティ教授とホームズの決戦。 ――― バラエティ豊かな作品集です。個人的に好みなのは、「黄色い顔」と、「株式仲買店員」です。後者は『シャーロック・ホームズの冒険』所収の「赤毛組合」を想起させますが、この手の謎の行動の意味を探る物語は好みです。 「海軍条約事件」も、手に汗握る展開で、面白かったです。 ・海外の作家一覧へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.10.29 14:58:54
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