カテゴリ:本の感想(海外の作家)
~創元推理文庫、1959年(新版2004年)~ (Agatha Christie, The Murder of Roger Ackroyd, 1926)
アガサ・クリスティによる、あまりに有名な作品のひとつです。 いろんなところで、本書の性質について触れていたので、なんとなくのオチは分かった上で読むことになりましたが、ミステリはできるかぎり先入観や予備知識なしに読む方が良いというのをあらためて感じました。と同時に、本書は、おぼろな予備知識はあっても、それでも十分に楽しめる作品であると感じました。 さて、前置きが長くなりましたが、簡単に内容紹介と感想を。
――― キングズ・アボット村で医師をつとめるシェパードは、その朝、フェラーズ夫人の遺体の状況を確認した。薬の飲み過ぎではないか、と思われた。 夫人と懇意にしていた、村一番の資産家ロジャー・アクロイドから夕食に誘われたシェパードは、夕食後、彼からひとつの話を打ち明けられる。いわく、フェラーズ夫人は何者かに脅迫されていた。そして脅迫者の名前の書かれた夫人からの手紙を自分は持っている…。 しかしアクロイドは手紙をその場で読まず、シェパードと別れた。シェパードは帰り道、不審な男がアクロイド邸を目指しているのに出くわす。 そして帰宅後、シェパードのもとにかかってきた電話を受け、彼はふたたびアクロイド邸に向かう。そして、短剣を刺されて死亡しているアクロイドの姿を認めた。 けちなアクロイドに苦しめられていためいのフロラは、村に滞在していた有名な探偵、エルキュール・ポワロに事件の解明を依頼する。村に帰ってきていたアクロイドの息子―そしてフロラが婚約していた―ラルフ・ペイトンに、殺人の容疑がかけられていたからだった。 ポワロは、真相解明に乗り出すこととなる。 ―――
クリスティ作品を読むのは、20年近く前に知人から借りて『そして誰もいなくなった』を読んで以来で、実質自分で買って読むのは初めてになります。冒頭にも書きましたが、これは面白かったです。 その夜、アクロイド邸に集まっていた人々は、誰もが何かを隠している。そして、誰もがアクロイド殺害の動機を持っていたといえる状況で、ポワロが様々な手段を用いながら、「隠していること」を明らかにしていく手腕は見事です。そして真犯人を言い当てる論理性、そこに至るまでに張り巡らされた伏線と、感動的でした。 ほかのクリスティ作品も読んでいきたくなります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.12.15 22:44:00
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