カテゴリ:本の感想(あ行の作家)
~講談社文庫、2001年~
有栖川有栖さんによる、ノンシリーズの長編です。 それでは、簡単に内容紹介と感想を。
――― 脚本家を目指しつつ、ヨーロッパ各地を旅していた恭司は、オランダのアムステルダムに滞在することとなる。そこで出会った芸術家の兄妹の遥介、美鈴、そして水島や久能らと友人となり、彼らからソフトドラッグの手ほどきを受ける。ドラッグの勢いもあってか、彼は遺体をバラバラにして遺棄するというミステリじみた物語を書き始める。 一方その頃、水島の遺体がバラバラにされ、アムステルダムの運河に遺棄されるという事件が起こる。水島が最後に目撃された夜、恭司は遥介らとドラッグをたしなんでおり、アリバイはあったが、自身が書いた小説との奇妙な一致に不安を覚える。 ―――
この文庫版が刊行されたのがもう15年以上前ということは、おそらくそれくらいぶりの再読です。 冒頭、大阪で川に遺体を遺棄する男が描かれます。果たして、大阪のエピソードと、アムステルダムでの事件がどのように結びつくのか、興味をもって読み進めました。 有栖川さんの作品にしては、ロジックやトリックがあまり強調されていないように感じました。といいつつ、恭司さんが書き上げるミステリの真相は興味深いですし、またアムステルダムでの事件にも一定の論理的解決は示されますが、タイトルのとおり、幻想的な雰囲気があふれた作品となっているように思います。
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なぜ恭司は美鈴を殺したのですか?
(2022.02.04 20:15:39)
コメントありがとうございます。
せっかくコメントをいただいたのに申し訳ありませんが、なにぶん3年前に読んだ作品ということもあり、また記事にも書きましたが論理性よりも幻想性を重んじた作品ということもあり、私にはよくわかりません、というのが正直なところです。 コメントを拝見し、いくつかネット上の『幻想運河』についての記事を読みましたが、読者にゆだねられている部分が多い、という感想が多い印象を受けました。 明解な回答ができず申し訳ありません。 (2022.02.05 22:42:14) |
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