カテゴリ:本の感想(海外の作家)
~創元推理文庫、1959年~ (S. S. Van Dine, The Greene Murder Case, 1928)
ファイロ・ヴァンスが活躍する長編です。ヴァン・ダインの作品の中でも、特に有名な作品のひとつですね。 それでは、簡単に内容紹介と感想を。
――― 旧家グリーン家の当主は、遺族は25年は現状維持していないと相続権が失われるとの遺言をのこし、死去した。憎しみがうずまくグリーン家は、一種独特の雰囲気に包まれることになる。 そんな中、長女が銃殺され、養女も背中を銃で撃たれるという事件が発生する。警察は、グリーン家の貴重なコレクションを狙った強盗による犯行と考えるが、何も盗まれていないことや、2つの事件の間の奇妙な空白などの状況から、ファイロ・ヴァンスは強盗説を否定する。グリーン家の長男も、具体的には口にしないものの、強盗説に懐疑的で、ヴァンスとも交流のある地方検事マーカムに事件の調査の依頼をしてきた。 マーカムも強盗説に傾いていたが、次に依頼者が銃殺されたことで、ヴァンスの見解を認め、あらためて調査に乗り出す。しかし、さらに犯行は繰り返される。 ―――
これは面白かったです。とりわけ、ヴァンスが事件の謎を100近くも書き上げ、それらに関連性を見いだし、真相を見破る過程はすごいです。ぞわぞわしました。それらの項目をどのように結んで真相にたどり着いたかも注に示されていて、作者の徹底した仕事に感銘を受けました。 中島河太郎さんによる解説も秀逸です。ヴァン・ダインの経歴はもちろん、後期の作品はやや力を失っていくという批評、本書の優れた点を称賛するだけでなく残念な点も指摘しているところなど、単なる「よいしょ」の解説ではありません。
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Last updated
2019.02.13 21:56:59
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