2026322 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2019.05.02
XML


北村薫『太宰治の辞書』

~創元推理文庫、2017年~

 

 円紫さんと私シリーズ第6作です。

 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

 

―――

「花火」三島由紀夫が座談会で、引用の作者名を誤ったのはなぜか。ピエール・ロチの作品と芥川作品の関係性と芥川作品の意味とは。

「女生徒」正ちゃんと久々にゆっくり話をした「私」は、一冊の本をもらいうける。太宰治の「女生徒」。それは、実際に太宰治に届けられた女生徒からの手紙をもとにした作品という。「私」は、もとの手紙と太宰作品を比較し、太宰作品の深みを感じていく。

「太宰治の辞書」円紫先生と久々に過ごす「私」は、先生から一つの問題を示される。「女生徒」に書かれていた「辞書」とは、いったいどんな辞書だったのか。

 

「白い朝」家の前にとめているトラックの、バックミラーの霜だけなくなっていたのはなぜか。

 

「一年後の『太宰治の辞書』」以下はエッセイ。本物の「太宰治の辞書」に出会う経緯などが描かれます。

「二つの『現代日本小説体系』」『六の宮の姫君』​に登場する『現代日本小説体系』の巻について、丁寧に作品を読んで評したブロガーの方がずれを指摘します。なぜずれが生じてしまったのか。

―――

 

 古本屋で本書を見つけたとき、びっくりしました。続きが読めるなんて、と。(解説の米澤穂信さんも書いていらっしゃいますが、全く同感でした。)

 ​『朝霧』​で大学を卒業し、出版社に就職した「私」ですが、本書ではもうお子さんもいらっしゃいます。正ちゃんも登場し、思い出話に花をさかせるあたり、このシリーズは時の流れがとても大切に感じられるように思います。

 初期の日常の謎の要素は薄まり、文学作品の謎解きに重点が置かれています。文学案内としても、そこから謎を見いだして読み解くというミステリとしても、楽しめる作品です。

 第一話でふれられるピエール・ロチについては本書ではじめてふれた気がしますし、太宰の「女生徒」もはじめて知り面白そうだと思いました。同時に、自分の教養のなさも痛感する次第ですが…。

 良い読書体験でした

 

・か行の作家一覧へ






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2019.05.02 22:20:00
コメント(0) | コメントを書く
[本の感想(か行の作家)] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
別の画像を表示
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、こちらをご確認ください。


Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

My favorites♪ torezuさん
姫君~家族 初月1467さん
偏った書評ブログ mnmn131313mnmnさん
海砂のつらつら日記 kaisa21さん

Comments

 のぽねこ@ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
 シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
 のぽねこ@ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

© Rakuten Group, Inc.