カテゴリ:本の感想(や・ら・わ行の作家)
~角川文庫、1979年~
横溝正史さんによるジュヴナイルものの長編です。 同じくジュヴナイルものの『大迷宮』にも登場する立花滋くんが、本作でも活躍します。 それでは、簡単に内容紹介と感想を。
――― 立花滋が通う中学校の前で、奇妙な奇術師が芸を披露していた。周りの人にばかにされると、奇術師は「金色の魔術師」と名乗り、「七人の少年少女をもろうていくつもりじゃ」と言い捨ててどこかに行ってしまった。 滋の冒険に魅了された村上少年と小杉少年は、滋とともに3人で探偵団を結成しようとしていた。そんな中、友人の山本少年が3人のもとを訪れ、自身が経験した事件について語る。有名な学者でありながら、精神に不調をきたした赤星博士がサタンを崇拝するための礼拝堂が近所にある。ある日、そこから「首が浮いている!」と叫ぶ浮浪者が出てきた。山本少年が建物に入ると、赤い星と「No.1」と書かれたカードが落ちていたという。 その礼拝堂を4人で冒険しようとしていた矢先、山本少年は行方不明になる。その後、3人は探検し少年を捜し出すも、いままさに、金色の魔術師が少年を湯船のようなものにつけ、少年を溶かそうとしている情景をみることとなる。 金色の魔術師は、さらに大胆な方法で少年少女をさらっていく。 滋たちは、関西で療養している金田一耕助に助けを求める。すると、耕助は、自分は動けないが黒猫先生に助けてもらうよう返事を出してきた。しかし黒猫先生もどこか奇妙で……。 ―――
久々に横溝さんの作品を読みましたが、大好きな作家ということもあり、安心して読めます。語り口が素敵ですね。 さて、本作はジュヴナイルでありながら、少年が溶かされていくという不気味な情景も描かれます。 面白かったのは、主人公の少年たちのあだ名です。村上少年は「クラスでいちばんからだが大きく、いちばん力があるので」ターザン、小杉少年は公平という名前ですが、「クラスでいちばん人気のあるひょうきんもので」キンピラ(公平をおどけて読んで)というあだ名です。こういうの大好きです。 金田一先生も、ジュヴナイルでは失敗しがちな印象ですが、今回はかなりしっかりしていて、そこも嬉しかったです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.10.02 22:28:19
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