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2019.11.10
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横溝正史『姿なき怪人』

~角川文庫、1984年~

 

 横溝さんによるジュヴナイル作品集。連作短編集のおもむきのある表題作のほか、短編1編が収録されています。

 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

 

―――

「姿なき怪人」

 「第1話 救いを求める電話」法医学の権威、板垣博士を訪れた三津木俊助と御子柴進だったが、博士の部屋で言い争う声が聞こえた。博士の娘、早苗との結婚を反対された木塚は、博士に復讐を誓う捨て台詞を残してその場をあとにする。その直後、早苗から助けを求めるような電話が研究室にかかってくる。急いで現場に向かう三津木たちだが、すでに早苗は殺されていた。木塚には鉄壁のアリバイがあったが…。

 「第2話 怪屋の怪」進は、板垣博士からのお願いで太田垣家を訪ねた。呼びかけても返事がなく、家に入ってみると、男が殺されていた。あわてて警察を呼びに行くが、現場に戻ると、死体もなくなり、流れ出ていた血の跡もきれいになくなっていた。見間違いと指摘されるが…。

 「第3話 ふたごの運命」板垣博士が後見人をつとめる双子が外国から日本にやってきた。しかし、双子は空港で何者かに連れ去られてしまう。後日、片方と思われる少女の遺体が発見されるが、解剖を前にした日、その遺体も持ち去られてしまう。

 「第4話 黒衣の女」黒衣の女と名乗る女性から、新日報社に電話がかかってきた。対応した進に対して、あるホテルを訪れ、荷物をもって公園にきてほしいという。進がホテルに訪れると、そこでは男が殺されていた。

 

「あかずの間」家が貧しく、おじの家に引き取られた由紀子だが、おじとおばの様子に不自然なところがあった。毎日、おばは納戸まで食料を運んでいた。蛇神に供えるというが、けがをしたおばのかわりに納戸を訪れると、中から人のすすり泣きが聞こえてきて…。

―――

 

 ジュヴナイル長編を続けて読んできて、今回は連作短編集のおもむきでしたが、少なくともジュヴナイル作品については短編の方が自分の好みということに気づきました。博士に復讐を誓う男からはじまり、アリバイトリック、遺体消失トリックなどなど、面白いトリックも盛りだくさんです。双子の事件で、遺体が奪われたのはなぜかというのも魅力的な謎でした。

 さて、本作は角川文庫(緑版)の、横溝作品の最後から二番目の作品。ということもあってか、横溝さんの夫人(孝子さん)と息子さんの亮一さん、そして本書の編集・構成を手がけた山村正夫さんの座談会(その1)が収録されています。横溝さんは家族には偏屈で気むずかしいところがあったようで、奥さんがたえられず神頼みに行ったときに、怒り狂って二階の窓から布団やテーブルを投げ出したということもあったそうです。そうかと思えば、血を見るのが大の苦手だったり。

 また、野球観戦が大好きで、お子さんといっしょに観戦に行かれていたこと、お子さんのために童話集のたぐいを一気にどんと買われていたことなど、興味深いエピソードが満載です。

 優しい作風でありながら気むずかしかったこと、血みどろの作品を書きながら血がきらいといったことなど、ギャップも興味深いです。

 

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Last updated  2019.11.10 22:22:39
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