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2019.12.19
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ミシェル・パストゥロー(蔵持不三也訳)『図説 ヨーロッパから見た狼の文化史』

~原書房、2019年~

(Michel Pastoureau, Le loup. Une histoire culturelle, Paris, Édition de Seuil, 2018)

 

 ミシェル・パストゥローによる動物の歴史のモノグラフです。原著が2018年ですから、わずか1年後に訳書が刊行されたことになります。原著の購入をどうしようかと思っていたので、訳者と出版社に感謝です。

 著者については、​こちらの記事​をご覧下さい。著者は紋章や色彩、動植物の歴史の研究で有名で、このブログでも、牛の歴史、豚の歴史についての著者の論文や、熊の歴史についての単著(英訳版と邦訳版)を紹介したことがあります。

 本書は、狼に焦点を当てた一冊。注はありませんが、序論で、「[熊、狼、猪、鹿、狐、カラス、鷲、白鳥などの]20種あまりの動物がヨーロッパの文化史で重要な役割を演じてきたのである。本書を嚆矢とする一連のモノグラフはこの歴史に捧げられている」という記述があり(9)、色の歴史のようにシリーズ化されるのでしょうか。今後が楽しみです。

 さて、前置きが長くなりましたが、本書の構成は次のとおりです。

 

―――

序文

第1章 古代の神話体系

第2章 ローマの狼

第3章 野獣より強い聖人

第4章 動物誌のなかの狼

第5章 イザングラン―笑いのための狼

第6章 人狼と魔女

第7章 呼称とエンブレム

第8章 寓話と童話

第9章 農村部の野獣

10章 ジェヴォーダンの「獣」

11章 近代の信仰と迷信

12章 現代の狼

 

原典・参考文献

訳者あとがき

―――

 

 著者は中世史が専門ですが、膨大な文献を駆使して、先史時代から現在までの狼の文化史を平易に描いているのは、いつもながら見事です。

 12-13世紀に成立した『狐物語』(参考:『狐物語』原野昇他訳、岩波文庫、2002年)では、狼のイザングランは狐のルナールにさんざん辱められる、「愚かで滑稽な存在」(64)となっています。その背景として著者は、「感情的なはけ口というより、むしろなんらかの現実を反映したものだった」(68)と述べ、この時代には狼への恐怖心は薄れており、それが再発するのは中世末だったといいます。ですが、なぜこの時代に狼への恐怖心が薄れていたのか、という点に言及されておらず、物足りなく感じました(軽微な点かもしれませんが)。

 ただ、気になったのはその点だけで、ことわざや、赤頭巾ちゃんの解釈などなど、面白いテーマが満載で、興味深く読みました。

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Last updated  2019.12.19 22:37:59
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