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2020.01.25
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Roger Andersson (ed.), Constructing the Medieval Sermon, Brepols, 2007

 

 ブレポルス社から刊行されているSERMOシリーズの第6巻。編者序文のほか、13の論文が収録されています。

 本書の構成は次のとおりです。(連番はのぽねこ補足)

 

―――

謝辞

読者への注記

略号一覧

図版一覧

 

[00]Intruduction (Roger Andersson)

[01] Between Artes Praedicandi and Actual Sermons: Robert of Basevorn's Forma Praedicandi and the Sermons of John Waldeby, OESA (Yuichi Akae)

[02] Peter the Chanter and the ‘Miscellanea del Codice del Tesoro’ (Etymology as a Way for Constructing a Sermon)  (Riccardo Quinto)

[03]Did Giordano da Pisa Use the Distinctiones of Nicolas Gorran? (Silvia Serventi)

[04]The Use of Model Sermons at Vadstena: A Case Study (Monica Hedlund)

[05]Editing the Sermones moralissimi de tempore by Nicolaus de Aquaevilla (Eva Odelman)

[06]Constructing Preacher and Audience in Old English Homilies (Mary Swan)

[07]Language Difficulties in Some Medieval Vernacular Scandinavian Sermons (Jonathan Adams)

[08]Preaching for Members of the University in Latin, for Parishioners in French: Jean Gerson (1363–1429) on ‘Blessed are they that mourn’(Christoph Burger)

[09]On the Use of Mnemonic Schemes in Sermon Composition: The Old Norwegian Homily Book (Kirsten M. Berg)

[10]Uidens Iesus ciuitatem fleuit super illam: The Lachrymae Christi Topos in Thirteenth-Century Sermon Literature (Jussi Hanska)

[11]The Sermons of Johannes Brugman OFM (†1473): Preservation and Form (Thom Mertens)

[12]The Writing Sisters of Jericho: Authors or Copyists? (Patricia Stoop)

[13]Die ‘Postilla Evangeliorum’ des Johannes de Sancto Laurentio (Anette Löffler)

 

写本索引

人名索引

―――

 

 現時点では、[00][01][02][10]しか読めていませんが、序論をもとにメモしておきます。

[01]は、ベイスヴォーンのロバート『説教形式』とジョン・ウォールドビー『新主日説教集』を比較検討し、両者の知的環境の共通点を浮き彫りにする論考。以前紹介したYuichi Akae, A Mendicant Sermon Collection from Composition to Reception. The Novum opus dominicale of John Waldeby, OESA, Brepols, 2015も参照

[02]は、托鉢修道士の説教が、ペトルス・カントルなど12世紀後半の大学の在学教師から素材を得ていたことを明らかにします。


[03]
は、あるイタリア人説教師がラテン文化的説教手引きを利用していたことを示す論考。


[04][05]
は、スウェーデンの(おそらく)フランシスコ会士ニコラウスの説教を題材に、[04]は残された3つの写本の関係を分析し、[05]は校訂の方法論を説きます。


[06]
はパフォーマティブの理論を用いた論考、[07]はラテン語と俗語の言語の問題を扱います。


[08]
はジャン・ジェルソンの説教から、異なる聴衆に対する言語の選択の重要を明らかにするそうで、関心はありますが現時点で未読。


[09]
は中世の説教が記憶の装置として機能していたことを論じます。


[10]
は「イエスの涙」というトポス(定型句)に着目します。イエスは何度泣いたか、という点につき、13世紀前半頃までは聖書に基づき3回(ラザロの死、エルサレム、十字架)とされていましたが、後半頃から変化が起こり、4回泣いた(人間は誕生時みんな泣く→イエスは人間として生まれた→よってイエスも誕生時に泣いた)という説、5回泣いた(ユダの裏切りの際)という説も現れてきます。説教師ごとに、誰がどの立場をとっているかをまとめた表が付されており有用。また、説教師たちはイエスの涙をどう解釈したか、そしてこのトポスが説教の構造にも強い影響を与えていたという点に関する議論もあり、大変興味深く読みました。


[11][12]
は写字生の役割に焦点をあてます。


[13]
はライプツィヒのある写本について、その著者と年代の問題を扱うようです。

 

 赤江先生の博士論文の重要な部分を構成する論考に、Hanska論文と、気になっていた論文に当たることができたのが良かったです。その他、説教の言語の問題や写字生の役割など、気になる論考も多く、いつか当たれたらと思います。

 

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Last updated  2020.01.25 23:22:51
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