カテゴリ:本の感想(あ行の作家)
~光文社文庫、2013年~
舞田ひとみシリーズ第2弾の連作短編集です。 それでは、簡単に内容紹介と感想を。
――― 「白+赤=シロ」スマトラ沖地震の義援金を募集している、という女に敵討ちをしたい、と友人の凪沙は言った。女は、募金してくれた人に、さらに多くのお金を求めており、詐欺のようだった。ところが、ある日、その女が殺された。募金が詐欺だと糾弾していたインドネシア人に疑いの目が向けられるが…。 「警備員は見た!」わたし―高梨愛美璃が通う中高大一貫の学園で、部室から大量の水着やユニフォーム、私服が盗まれるという事件が起こる。学園には3人の警備員が、外部からの侵入には目を光らせていたのだが…。内部犯も疑われ始めた頃、終業式の日に、さらに事件が起こる。 「幽霊は先生」英語担当のトム先生が、ある日とつぜん、激やせしていた。原因を聞いてもはぐらかしていたトム先生だが、凪沙とひとみの行動力で、理由を聞きに行く。すると先生は、怪談のうわさのあるトンネルで、恐ろしい体験をしたという。真相を確かめようとするひとみたちだが… 「電卓男」愛美璃の弟が、友人とメールで暗号のようなやりとりをしていた。ある日、弟と偶然見つけた愛美璃たちが様子をうかがっていると、なにやら危険なことをしていそうなそぶりがみられた。暗号の意味とは、そして弟がしていたこととは。 「誘拐ポリリズム」後日、外出していた弟から何度も家に電話がかかってきた。同じく外出していた母あてだったが、明らかに弟の様子がおかしい。何度目かの電話で、弟は誘拐されているといい、犯人の声も聞かされた。動揺する愛美璃だが、ひとみは着実に真相に至る材料を集めていき…。 「母」平日の朝、中央分離帯で踊っている女性を見かけた夏鈴。愛美璃は疑っていたが、実際にその目で見ることになる。なぜ、そんなところで踊っているのか? 直接聞きに行こうとしたひとみだが…。後日、病院で一人の患者が失踪した。患者は、病院から20km離れた山の中で遺体で発見される。 ―――
ひとみさんと小学校が同じだった愛美璃さんが語り手で進みます。ひとみさんは公立に進みますが、私立に進学して凪沙、夏鈴という友人とまったり過ごすのがお気に入りの愛美璃さんが、ひょんなことからひとみさんと再開し、みんなで謎解きに挑みます。 個々の物語の魅力的な謎、そして鮮やかな解決の面白さはもちろんですが、本書では家族との距離感も大きなテーマの一つとなっていて、味わいが深いです。 このシリーズは続編もあるようなので、また読むのが楽しみです。 (2020.03.29読了) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.07.04 22:58:20
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