カテゴリ:本の感想(あ行の作家)
~徳間文庫、2008年~
2001年徳間デュアル文庫から刊行された「マリオネット症候群」と表題作の2編の中編が収録されています。 それでは、簡単に内容紹介と感想を。
――― 「マリオネット症候群」ある夜、突然自分の意志とは関係なしに目覚め、動き始めた私―御子柴里美。どうも、男の人が乗り移っているとしか思えない状況になった。私がどんなに思っても、自分を動かす人物には届かず。はたして、誰が、なぜ乗り移ったのか。そして、御子柴家の抱える過去とは…。
「クラリネット症候群」憧れの先輩に聞かせるため、養父が大切にしているクラリネットを持ち出し、河原で演奏していると、先輩が聞きに来てくれて、僕―犬育翔太は心が躍る。しかし、過去に自分をいじめていた不良たちにからまれ、クラリネットが壊れてしまう。その直後から、僕はドからシまでの言葉が聞こえなくなってしまい…。そして、失踪した養父と、残された謎の暗号の真相とは。 ―――
大森望さんによる解説が秀逸です。大森さんも書かれているように、乾さんの作品には作風の違いが大きく、なかなかなじみにくい作品もありますが、本書と、同じく徳間文庫から刊行されている『蒼林堂古書店へようこそ』はとっつきやすい作品です。 さて、ミステリ風に内容紹介を書きましたが、どちらもSF的要素と、はちゃめちゃな要素とがあり、これまた大森さんの言葉をお借りすれば「ドタバタギャグっぽいトーンとあり得ない展開」です。けれども、特に表題作の暗号解読はよく作られていて、ミステリとしてのクオリティもしっかり高いです。 読みやすく、楽しい1冊です。 (2020.06.22読了)
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Last updated
2020.09.27 23:58:27
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