乾くるみ『嫉妬事件』
~文春文庫、2011年~
タロウ・シリーズの1冊。表題作の中編と、ボーナストラックの短編の2編が収録されています。
城林大学ミステリ研究会の部室で、本棚の本の上にあるものが置かれていた…。背表紙に「尾籠系ミステリ」とあり、あるものの正体がなんとなく察しが付き、読み進めると、竹本健治『ウロボロスの基礎論』(20年以上前に読んだきりで、ブログ記事は書いていません)で紹介される現実の事件がモチーフにされている作品と気づきました。(その事件への一つの回答の提示でしょうか。)
というんで、表題作についてはいつものような内容紹介が書きにくいので省略しますが、乾さんの作風の広さにあらためて驚かされます。
ボーナストラック「三つの質疑」は、表題作中で登場人物が書いた犯人あてミステリという体裁のようです。こちらは安心して読めました。
(2020.07.17読了)
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