のぽねこミステリ館

2022/12/29(木)12:05

坂東眞砂子『死国』

本の感想(は行の作家)(39)

​​ 坂東眞砂子『死国』 ~角川文庫、1996年~  映画にもなった有名な長編小説。四国(特に高知県)を舞台とした、「伝奇ロマン」(背表紙より)です。  イラストレーターの比奈子さんは、東京での生活と恋人から逃れるべく、幼少期を過ごした高知県矢狗村を訪れます。仲良しだった莎代里が中学生の頃に亡くなっていたこと、初恋の文也さんが既に離婚していて、村役場でつとめていることなどを知ります。そして、文也さんとの距離が近づいていく中、身に覚えのないイラスト、莎代里の歌声、暴風雨などの怪現象が二人を襲います。  莎代里の母は、彼女をよみがえらせるため、四国88か所の霊場を、莎代里の歳の数だけ逆にめぐり、ついに莎代里が生き返ったといいます。一方、ある村では、男たちが順番に遍路に出るという風習がありました。  莎代里さんへの、そして文也さんへの様々な思いを抱きながら、なんとか前に進もうとする比奈子さんを待ち受けるのは……。  村の風習を守る老女。遍路を続ける男。文也さんの視点。そして、比奈子さんの視点の、主に4つの視点で、物語は進みます。莎代里さんの母の言動など、少し背筋が寒くなるようなシーンもあり、歴史というか民俗を描く要素もあり、久々(20年以上ぶり?)の再読でしたが、面白かったです。(2022.09.03読了)​・は行の作家一覧へ

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