北山猛邦『先生、大事なものが盗まれました』
~講談社タイガ、2016年~
怪盗に「何が」盗まれたのかを推理する連作ミステリです。
舞台は、探偵を育てる「探偵高校」こと御盾高校、怪盗を育てる「怪盗高校」こと黒印高校、盗まれたものに反応する灯を守る灯台守高校の3校のある凪野島。
物語は、灯台守高校に入学した雪子さんの一人称で進みます。探偵高校に進学した幼馴染のチトセ、同じく友人で怪盗高校に進学したシシマルとともに、謎に挑んでいきます。そして、雪子さんの担任となるヨサリ先生のことも、物語を通じた謎といえるでしょう。
本書には、3話が収録されています。
それでは、簡単にそれぞれの内容紹介と感想を。
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「第1話 先生、記念に一枚いいですか」過去に自殺者の出た建物に、伝説の怪盗フェレスを名乗る犯行カードが残されていた。もともとものが何もない現場から何が盗まれたのか。学校の課題でこの謎に挑むことになったチトセとともに、雪子、シシマルが謎に挑む。
「第2話 先生、待ち合わせはこちらです」新しい友人ができて、ショッピングを楽しむ雪子だが、その頃、自分がなにかを失っている気がしていた。さらに、辞書や目覚まし時計など、今まで当たり前に使っていたものがなくなっていて…。
「第3話 先生、なくしたものはなんですか」怪盗フェレスの隠れ家といわれる建物を訪れた雪子とシシマルは、何者かに襲われてしまう。そこでは過去に、フェレスを追う探偵たちが集まった際に殺人事件が起こっていた。事件の真相は、そして雪子たちを襲った人物の正体は。
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主人公たち3人の会話から、怪盗は、形のないものも盗むことができるということが示されます。ですので、その特殊設定を受け入れ、どれだけ違和感から「盗まれたもの」を推理できるかがカギになります。
先生の過去や、今後3人がどのようになっていくのか、など、これからの物語も楽しみです。
(2025.11.28読了)
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