西洋中世学会編『西洋中世文化事典』
~丸善出版、2024年~
2009年に発足した西洋中世学会の編による事典です。
編集委員長小澤実先生による「刊行にあたって」では、本書に盛り込まれた4つの視点が示されます。すなわち、(1)分野横断(歴史学、文学、美術史学、音楽など)、(2)西欧の越境(北欧、東欧、中東など)、(3)グローバル化、(4)文化接触と文化創造への着目、です。
総勢203名の執筆者による本事典に収録されている項目数は、296(各章末に置かれた、その章に関連する人物を取り上げる1頁のコラムも含む)で、基本的に見開き2頁(4頁にわたる項目もわずかですがあります)、巻末にはその項目での引用文献と参考文献が紹介されます。見開き2頁ですが、どれも専門家による膨大な研究と知識のエッセンスであるため、読みやすいながらも内容は非常に濃密です。そのため、1年程度で読了したいと思っていましたが、結局1年4カ月くらいかかりました。
さて、本書の構成は次のとおりです(細かい項目名は省略。また以下ではコラムも項目数に含めていません)。
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図版
執筆者一覧
見出し語五十音索引
1章 環境と自然(編集担当:草生久嗣/池上俊一・小澤実)[16項目]
2章 国家と支配(編集担当:草生久嗣/加藤玄・田口正樹)[17項目]
3章 ことばと文字(編集担当:松田隆美/大黒俊二)[16項目]
4章 戦争と騒擾(編集担当:草生久嗣/加藤玄)[19項目]
5章 都市と産業(編集担当:山辺規子/大黒俊二・河原温・城戸照子)[16項目]
6章 交易ともの(編集担当:山辺規子/大黒俊二・河原温・城戸照子)[16項目]
7章 移動と交流(編集担当:山辺規子/大沼由布・草生久嗣)[14項目]
8章 身体と衣食住(編集担当:池上俊一/山辺規子)[17項目]
9章 信仰と想像(編集担当:池上俊一/青谷秀紀)[17項目]
10章 ジェンダーと人生サイクル(編集担当:池上俊一/小澤実・久木田直江)[14項目]
11章 書物と文芸(編集担当:松田隆美/小林宜子・横山安由美)[22項目]
12章 美術と表象(編集担当:今井澄子/木俣元一)[20項目]
13章 建築と場所(編集担当:今井澄子/伊藤喜彦)[18項目]
14章 思想と科学(編集担当:辻内宣博/藤崎衛)[18項目]
15章 音楽と儀礼(編集担当:辻内宣博/池上俊一・吉川文)[18項目]
16章 中世受容と中世研究(編集担当:小澤実/大貫俊夫・草生久嗣・図師宣忠)[22項目]
【付録】地図
引用・参考文献
事項索引
人名索引
地名索引
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章題を見るだけで、本事典の幅の広さが分かると思います。
個々の項目を取り上げることはできませんが、幅広い概観を提示する項目もあれば、執筆者の専門に引き寄せた時代・地域で記述される項目もあり、また今後の課題の提示や当該項目で取り上げる内容を研究する意義の指摘など、記述もバラエティに富んでいます。
本事典刊行後、NewsPicksにて、「『西洋中世文化事典』を楽しむ!!」と題して、各章の代表者による連載(担当した章の紹介と次章の興味深い項目を中心に)と関連する記事が掲載されたり、「西洋中世史料の世界:『西洋中世文化事典』の、さらに向こう側へ」と題した公開講演会が開催されたりと、非常に盛り上がっていました。NewsPicksの連載は分かりやすく、本事典の重要さと楽しさが伝わります。
定価26,400円(税込)と決して手に取りやすい金額ではありませんが、西洋中世史について勉強するにあたっては必ず参照すべき文献の1つといえるでしょう。
(2026.04.11読了)
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