加納朋子『カーテンコール!』
~新潮文庫、2020年~
加納朋子さんによるノンシリーズの連作短編集です。
舞台は、閉校が決まっていた萌木女学園。本当なら3月末で閉校…だったはずなのですが、様々な事情で卒業ができなかったメンバーに、理事長の角田先生は特別補講を行うことを決定し、彼女たちは寮での生活を送ります。
「砂糖壺は空っぽ」は、萌木女学園付属高校を目指していた生徒と、自分に自信がなかった「僕」の、塾での交流を描く物語。
「萌木の山の眠り姫」は、朝起きられず、卒業を逃した「私」と、相部屋になった夕美さんの物語。夕美さんも「私」に負けず劣らず、補講中に眠っていて、少し安心していた「私」ですが、ある日、夕美さんが突然倒れてから、二人の関係に変化が起こり始めます。
「永遠のピエタ」は、創作活動に夢中で卒業を逃した「私」が、寮のメンバーで様々な想像をふくらませていく…という物語。ある日から、「私」の体調に異変が起こり始めて…。
「鏡のジェイミ」は、拒食症でやせ細ったルームメイトをもつこととなった「私」が語り手です。理事長の助言で、ルームメイトを助けようとしますが…。
「プリマドンナの休日」は、4年生のときに休学をして(当然)卒業を逃した「私」が、寮一番のしっかり者がなぜ卒業を逃したのかを追う物語。フリーライターを目指す「私」が到達する真相とは…。
最終章「ワンダフル・フラワーズ」は、角田理事長の昔話。理事長の学園への、そして寮の学生たちへの思いとは…。
それぞれの学生が抱える事情はときに重く、また「家族」のあり方についても考えさせられる物語です。
冒頭の「砂糖壺は空っぽ」で、物語に引き込まれ、その他の作品も味わい深く、また上の内容紹介ではあまり書きませんでしたが、ミステリ的要素もあって、好みの作品集でした。
素敵な読書体験でした。
(2026.03.27読了)
・か行の作家一覧へ